和ころん

あ~、懐かしい~。
昭和の茶の間の茶箪笥の中にあったなぁ。
引き出物の菓子盆とかに入っていたなぁ。
けっこう、好きだったんだ、これ。


「まころん」、です。
マカロン、ではありません、まころん、です。
あえてかな表記なのも、正しい(笑)、正調なまころん。
「コレ、好きだったよね?」と夫がおやつに買ってきてくれました。グッジョブ。

「まころん」とは落花生の粉末に卵白、砂糖などを合わせた焼いたサクサクしたお菓子。
アーモンドの粉末で作るフランス菓子の「マカロン」が日本で独自に進化した和菓子なのです。
マカロンはカステラなどとともに安土桃山時代に宣教師によって日本に伝わったとされ、
当時は入手困難だったアーモンドの代わりに落花生を使ったお菓子に進化、
江戸時代末期から明治期にかけて「まころん」として愛されるお菓子になっていったようです。

フランス菓子の「マカロン」の原型はイタリアの伝統菓子「アマレッティ」といわれ、
日本で独自に進化した「まころん」は、イタリア生まれフランス育ちの日本銘菓とも言えます。
外国の食べ物を美味しく賢くアレンジ、進化させる日本の食文化って、やっぱりすごい。
あんぱん、カツ丼、カレーライス、オムライス、ナポリタン・・・もう数えきれない。

美味しくアレンジ、進化させる技術と同時に、感心するのがネーミングセンス。
「あんぱん」「カツ丼」などはとても発音しやすく、聞きやすく、一度口にしたら忘れない。
フランス料理の「クロケット」が語源の「コロッケ」も発音するのが楽しくなる語感があります。
「マカロン」→「まころん」は発音もかな表記もカワイイ、みんなに愛される名前ですよね。

「マカロン」の語源はフランス語で、編んだ髪をまとめる髪型、
また、その髪を留める楕円形の櫛「Macaroon」に見た目が似ていたことに由来するそうですが、
和菓子「まころん」も、その愛らしいヴィジュアルのふさわしい名前といえます。
だって、見て、このカタチ。


ころんとした小さなまんまるフォルム、まさに「まころん」♪
表面の割れ目も、お花が咲いたようにも、笑っているようにも見える。
昭和の子ども時代、「まころん」はお茶菓子の定番だった。
茶箪笥の中にあって、引き出物でもらったような菓子盆に盛られていた記憶がある。
気取らない、ふだんの、おいしいおやつだったなぁ。

ここしばらくはフランス菓子のお洒落な「マカロン」に気を取られていたけれど(笑)
そうだ、日本には「まころん」という愛すべき和菓子があったのだった。
あ、そういえば、以前、フランス料理のシェフが言っていたことを思い出した。
「マカロンはフランス人にとってはどら焼きみたいなおやつなんですよ」って。
日本に紹介されて、やたらと高級化お洒落化していったらしい、です。

どの国にも、長く愛されるおやつがある。
イタリア生まれフランス育ちの和菓子「まころん」。
和ころん、って呼びたくなった。