すき焼き理論

肉は、不思議だ。
特にすき焼きは、不思議だ。
美しい赤色に輝く牛肉を見るだけで
身体の奥底から根源的な本能が蠢くのを感じる。


昨日の金曜ごはんの主役はこちら。
稀少な「はこだて和牛」。
年末に頂戴した贅沢なお肉を新年の景気づけに味あわせて頂きました。
すき焼き用リブロースですもの、もちろん、すき焼きで♪

「はこだて和牛」は函館の南西部に位置する木古内町で
年間220頭前後しか出荷されない稀少な「褐毛(あかげ)和種=褐毛和牛」です。
その名の通り褐色の毛が特徴で「あか牛」とも呼ばれ、脂肪分は少ないものの赤みが柔らかく、
適度なサシが入り、柔らかく牛肉本来の旨みが感じられる稀少なブランド牛なのです。


おおお~、パックの蓋を開けると、この通り。
その美しい赤身と真珠色のサシに見惚れてしまいます。
4軒の生産者が厳格なルールの下に丁寧に肥育、肉に甘みを与えるため餌にビールかすを加え、
肉質や食感が良くなるように米を与えることで美しいサシが入るようになりました。

全国的に飼育頭数の多い黒毛和牛に比べて極めて数が少ないため、知る人ぞ知る食材でしたが、
2011年に「全日本あか毛和牛協会」が設立され、知名度が高まり、ヘルシー志向の波にも乗って、
木古内町特産の「はこだて和牛」はマチを代表する特産品になっているのです。
一度食べたら虜になる、本当に美味しいお肉なんです。

とゆーことで、いざ、「はこだて和牛新春すき焼きパーティー」の開催。
参加人数は夫と妻の二人ですが、それでも、すき焼きって、なんというか、人の心を惑わせませんか?
我が家は割り下ではなく、醤油、酒、砂糖をダイレクトに入れる関西式なのですが、
いざ、お肉を投下、ぐつぐつし始めると、なんか焦る(笑)

「ほら、もういいよ、早く食べて!」「あ、こっちのお肉ももういいよ!」
火が入った美味しい瞬間を逃してはいけないと、鍋の上で指示が飛び交い(笑)、
一方で自分も遅れをとってはならずと溶き卵にお肉をくくぐらせ慌てて食べる、
北海道弁で言うところの「あずましくない」状況、
すき焼きを優雅に味わうのはほぼ不可能なのだ。

さらにおいしい食べ時を逃してはいけないという理由のほかに、
肉を食うとき、人間の奥底に潜んでいた根源的な本能が目覚めるような気がするのだ。
原始時代、いつ獲れるかわからない獲物をようやく得て、火で炙って食らいついた時の記憶なのか。
生きるためのエネルギーを必死で得ていた頃から刻み込まれた習性なのか、
肉を食らう時、人は、なんだか焦る、急ぐ、そんな気がしてならない。

なので、今回は、すき焼き前後半制を導入しました。
まず最初に下仁田ネギをすき焼き鍋で香り良く焼いて、一旦取り出し、
そこに「はこだて和牛」を投入、三温糖、酒、醬油を加えて、下仁田ネギを戻し、
ぐつぐつ煮えたら、まず前半戦、お肉とネギの至高のコラボを堪能する。

お肉とネギを十分に堪能したら、醤油、酒、三温糖を足して、
焼き豆腐、白滝、椎茸、春菊を入れてぐつぐつ、
具材メインの後半戦をゆっくり味わうという作戦。
これはいい、前半に肉を堪能、その満足感のもとで具材をゆっくり楽しむ。
北海道弁でいいところの「あずましい」すき焼きが実現したのであります。

「これから、すき焼きはこの方式だね」「うん、落ち着くね」
2026年、前後半制を導入した「はこだて和牛新春すき焼きパーティー」
新しいすき焼き理論は、効果てきめん、
和やかに美味しくありがたく楽しませて頂いた金曜ごはんなのでありました。

が、あ、すき焼きの写真、1枚も撮ってなかった(笑)
すき焼き理論も食欲には勝てなかったか。