もっとバターを

12月です。師走です。
今年もあっという間に月決めカレンダーが最後の1枚になりました。
どのカレンダーもクリスマスムードに彩られています。
そして、今年も、我が家にあのクリスマスのお菓子が無事入荷しました♪


「Aigues Vives(エグヴィヴ)」のシュトーレンです。
小樽の忍路の海を見渡せる場所にある超人気ブーランジェリーは
パン好きなら一度は訪れたいといわれる聖地のようなお店、
そのシュトーレンはエグヴィヴの技が凝縮している、まさに逸品であります。

毎年、この時季になると、いつ届くかな~とわくわく心待ちにしているのですが、
今年のパッケージもまた素敵、お洒落、ハイセンスですねぇ。
幼子イエスのおくるみを模したともいわれるシュトーレンは
馬小屋の藁をイメージしたお布団のような素材でやさしく包まれています。


藁のおくるみをそっと開けると・・・
ふわぁ・・・バターと酵母と小麦と果実やナッツの芳醇で馥郁たる香りが鼻腔をくすぐります。
上の部分が少し凹んだ独特の形はトンネルにも似ていることから
「坑道」や「地下道」を意味するドイツ語「stollen=シュトーレン」と名付けられたともされます。

「おくるみ」か「坑道」か、個人的には「おくるみ」に一票(笑)
エグヴィヴの藁のおくるみを開けると、その裏側にアートなイラストが描かれていました。
幼子イエスの誕生を祝うかのように手をとってダンスを踊っているようにも見えます。
大好きなアンリ・マティスの「ダンス」を思わせるようで、テンションがあがります。

さあ、我が家の2025年のアドヴェントがシュトーレン入刀とともにスタート。
シュトーレンはクリスマスを待ちながら少しずつ切り分けていただくお菓子なので
真ん中から半分にカット、食べる分だけ切り分けたらその断面を合わせていくのがお作法。
そうすると乾燥せずに、ゆっくり熟成も進み、味わいも増していくのです。


おおお~、ドライフルーツ、ナッツ、実りの秋が閉じ込めてられていますよ。
この秋の収穫に感謝しながら、まずは初日、ちょっと厚めにカットしましょう。


いざ、2025初シュトーレン、実食!
う~ん・・・やっぱり絶品!!!
たっぷりのバターと粉砂糖が沁みこんだ生地、果実の芳醇な風味とナッツの食感、
もう、これぞ、三位一体、心から感謝を捧げたくなる味わいでございます。

特に感謝したい歴史上の関係者がいます。
それはザクセン選帝候兄弟と教皇ニコラウス5世。
シュトーレンはドイツのザクセン州ドレスデンが発祥とされ、初めて記録に表れたのは1329年、
クリスマス前の四旬節の精進期間に許される質素な食べ物で、
ローマ教会はその材料として水と酵母と小麦粉以外を許可していませんでした。

つまり今のような美味しいお菓子ではなかったのです。
でも、美味しい物を食べたいという人々の思いは今も昔も同じ。
そこでザクセン選帝候エルンストと弟のアルブレヒトがバター禁止令廃止の請願を
教皇ニコラウス5世に相談、その結果、1491年に「バター食用許可証」が発布され、
黄金色のバターを使った美味しいシュトーレンが食べられるようになったのです。

有名な「バターブリーフ(バター許可証)」ドイツ語では「ブッターブリーフ」の逸話ですね。
ちなみに選帝侯とは神聖ローマ皇帝を選ぶ特権を持った諸侯のことですが、
現代でいえば知事が人々の要望を国に訴え政策を変えた、と言えなくもない?
まあ、かなり違う話かもしれませんが、あらゆる歴史上の文書のなかでも
「バターブリーフ」はスイーツ好きにとっては非常に重要な文書であることは間違いありません。

「もっと光を!」はドイツの文豪ゲーテの最期の言葉と伝えられていますが、
クリスマスに美味しいお菓子を食べたかったザクセンの人々の思いは
お菓子の歴史を大きく変えたのでありました。
「もっとバターを!」 その時、甘い歴史が動いた(笑)