ひと手間の香り
春の朝はのどかな色をしている。
冬の朝日は寒さに負けないような力強さを感じましたが、
この季節の朝日の色はどこかおだやか。
晴れを予感させるブルーと仲良く溶け合っていた。

絵心があればね~、
この一瞬を水彩画にでも描きとめておきたいところですが、
仕方ない、心のキャンバスにとどめておきましょう。
春の空は、ほんと、おだやかでのどかだ。
3月は卒業の季節。
テレビ・ラジオの番組も新装開店したり、新しいメンバーが加わったりしています。
新聞も春に向かって紙面も色々変り、毎朝掲載されているレシピコラムでも
30年間担当してきた料理研究家の渡辺あきこさんがご卒業との記事が載っていました。
渡辺さんはこの30年間で家庭での食事作りにも変化を感じてきたそうです。
男性がずいぶんと料理をするようになり、誰もが食事を作る力を身に着けることは本当に大切だといいます。
スーパーで若いカップルがフキを手に取り「食べてみたいけど、どうやっていいのかわからないね」と話しているのを聞き、
若い人も季節の食材を食べたいと思っていると嬉しくなる一方で料理法がわからないのはもったいと感じたそうです。
だから、心がけたのは材料の少ないシンプルなレシピ。この季節なら「菜の花のおひたし」とか。
さらに省ける食材は省く。煮魚もショウガを入れないで煮て最後にトッピングで使うレシピにする。
なくてもできて、あればよりおいしい。すると今度はショウガをいれてみようかと料理の幅が広がるわけですね。
最初のハードルをできるだけ低く、誰でも作れるように、作ってみれば、料理は楽しいおいしい。
心から共感します。
料理はもっと自由でいい、材料もあればあったでいいし、なければないで、なんとかなる。
玉ねぎなかったら長ねぎにしてみたり、バジルの代わりに青シソ使ったり、お砂糖切れていたら蜂蜜や黒糖でもイケる。
「~ねばならない」「~するべき」という固定観念からどんどん自由になっていいと思う。
一方で、ずっと面倒だな~とパスしていた「ひと手間」が劇的に料理をおいしくすることもある。
我が家の野菜料理の定番「胡麻和え」であります。
市販の胡麻を小さなフライパンで煎る、このワンステップだけで、もう香りが格段に別格に違う。
我が家の胡麻和えが小料理屋さんの一品になるのだ。
香ばしい胡麻の香りをまとった季節の胡麻和えは、抜群においしい。
おいしいと、そのひと手間が「手間」でなくなるのが不思議だ。
「煎る」という普段なかなかしない過程も、なんだか楽しくなってくる。
プチプチと小さなフライパンに上で煎られて弾ける胡麻のひと粒ひと粒がいとおしくなる。

「春菊の胡麻和え」
ひと手間の香りが、おいしい。

