花と果実と珈琲

花のような、
果実のような、
キャンディーのような、
珈琲なのに珈琲でないような・・・

そんな不思議なコーヒー体験をしました。
コーヒーにハマっている息子のバースデープレゼントを選ぼうと
マルヤマクラスにある「丸美珈琲店」を訪れた時のことです。
焙煎技術日本一の後藤栄二郎氏が営むお店が昨年秋にご近所に出店したのです。


高品質なコーヒーが持つ多様性を有資格の専門家である親切なお兄さんたちが
おウチでも再現できるように、豆選びから抽出方法まで丁寧にアドバイスをしてくれます。
専用カウンターで次々と香り高い稀少なコーヒーを試飲させてくれて、
居ながらにしてコーヒーの世界旅行ができちゃいます。

とはいえ、コーヒーは好きで毎朝飲んではいるものの、
収穫から焙煎、抽出まで各段階で厳しい品質管理が求められるスペシャルティーコーヒーの知識などほぼ皆無、
シングルオリジンだの、ウオッシュだの、専門用語もさっぱりわからない私、
コーヒーにこだわる息子へのプレゼント選びは、親切なお兄さん全権委任(笑)

エチオピア、パナマ、コスタリカ、ブラジル、ベトナムなどなど、
世界のコーヒー生産国から厳選された貴重で上質なコーヒー豆が並ぶなか、
お?これは・・・、素人の私でも聞いたことがあるぞ、
その名は「ゲイシャ」。


「グアテマラ カノア農園 ゲイシャ種 フリーウオッシュド」
お値段は・・・え~っと200gでシャンパーニュ買えるくらいと言っておきましょう。
ゲイシャ種は世界で一番高いコーヒーと言われていて、
2021年には1kg2568ドル、日本円で67万円の最高価格で落札された記録があります。

ゲイシャ種はコーヒー生産量の7割を占めるアラビカ種のひとつで、
原種に近い品種とされ、その香りや味が最高評価を受けています。
しかし、耐病性が低いうえに生育が遅く、通常のアラビカ種に比べて半分以下しか実が成らず、
栽培のハードルが高いため生産農家が少なく、生産量もごく少ない希少種であるために高価格となっているのです。

まあ、コーヒー界のエルメス、フェラーリってところでしょうか。
その「ゲイシャ種」が目の前にある。と、その時「どうぞ、試飲してください」。
なんと丸美珈琲店のお兄さんがなにげに小さなガラスカップを差し出すではありませんか。
まじ?こんなお高いのに、太っ腹、お言葉に甘えて、恐る恐るカップを口に。

その瞬間、ふわぁ・・・花のような香りが鼻をくすぐった。
華やかな花束のようなフローラルな香り、口に含むと・・・あら?果物・・・?
桃やリンゴのような果物のような甘さのある味わいが広がり、
「なんか、いい意味で、コーヒーじゃないみたい」
思わず、こんな言葉が漏れました。

「そうなんです、ゲイシャ種は紅茶のような風味がするんですよ」とお兄さん、にっこり。
ポップにはキャンディーのような風味もと書かれています。
花のような、果実のような、キャンディーのような、紅茶のような、
世界一高いコーヒーは、コーヒーなのにコーヒーじゃないような、格別な味わいなのでした。

ちなみに「ゲイシャ」という名前は日本語の「芸者」とは全く関係がなく、
この豆が自生していたエチオピア西部のゲイシャ村の名前に由来しています。
1931年にゲイシャ村で確認され、1953年にコスタリカ農学研究所CATIEに持ち込まれ、
1960年代にパナマの農園に導入され、2000年初頭にパナマのエスメラルダ農園で大きな実をつけ、
それ以降、世界のコーヒー品評会で最高評価を受け続け、現在に至っています。

「では、このゲイシャ種もプレゼントに入れて下さい」。
幾つかの品種とともに、コーヒー界のエルメス、フェラーリも加えてもらいました。
「グアテマラ カノア農園 ゲイシャ種 フリーウオッシュド」
収穫は完熟したチェリーのみを手摘み、水槽で洗浄するフリーウオッシュドののち、
東アフリカ伝統の高床式に天日干し台、アフリカンベッドで乾燥させたゲイシャ種ってことらしい。
ふ~む、色々、勉強になりました♪

花と果実と珈琲と。
琥珀色の世界は、奥が深い。