美良玉

古の人々も大好きだった。
鮮やかな緑と香りに魅せられた。
だから、素敵な名前がついたらしい。
春が近づくとますます美味しくなるあの野菜だ。


お惣菜の定番「ニラの卵とじ」。
そうです、その野菜は「ニラ」。
今の時季、越冬した株から最初に収穫される「一番ニラ」は絶品、
柔らかく甘みがある味わいを卵がやさしく包む大好きな一品です。
もちろん、北海道のニラ特産地である知内町の「北の華」で作りました。

ニラのレシピは卵とじや、中華風のニラ玉、レバニラ炒めなど色々ありますが、
香り高いこの緑の野菜は古くから親しまれてきました。
原産地は東アジアで中国西部、ベトナム、インドなどで紀元前前から栽培されており、
3000年以上の歴史を持つ野菜なのです。

日本には弥生時代に中国から伝わってきたとされ、
日本最古の歴史書である古事記には「賀美良(かみら)」、万葉集には「久久美良(くくみら)」、
平安時代の書物には「古美良(こみら)」という名前で記されています。
これらの「ミラ」が転じて現在の「ニラ」になったのです。

鮮やか緑、高い香りのニラは体を温め、元気にしてくれるとして
主に薬膳としてお粥に入れるなど薬用の食べ物として重用されてきました。
「賀美良」「久久美良」「古美良」などのニラを表す古語には
美味しくて体を健やかにしてくれる野菜への思いが込められているようです。

「美良(みら)」は「おいしい」という意味、
「香(か)+美良(みら)」で「かみら」となったとされ、
ニラの古語には香り高くて美味しい野菜という思いが込められています。
現代のニラ玉は、古ならば「美良玉」なのだ。


春を待つ食卓にもうひとつの野菜料理。
「ゆり根の味噌マヨグラタン」。
ニラはかつてユリ科に分類されていましたが、
現在はネギ亜科のヒガンバナ科に分類されています。

同じユリ科ではなくなりましたが、
どちらもおいしいお野菜であります。
野菜を食べて春を待つなり。