海の記憶

生まれた川を旅立ち、
幾つもの大海を大きく成長し、
数万キロを旅して故郷の川へ戻ってくる。
その味わいは、海の記憶なんだ。

礼文島の知人から年末にそれは立派な秋鮭が送られてきました。
厚さ3センチ以上の豪快な筒切り状態の秋鮭の迫力に見惚れてしまいます。
秋鮭漁は記録的な不漁が続くなか、なんとも贅沢な到来物に深く感謝です。
さあ、どうお料理をしましょうか。敬意を表して、やはり、コレです。


「秋鮭のサーモンステーキ」
貴重な秋鮭の魅力をダイレクトに味わうなら、このお料理ですよね。
分厚い筒切りの身に塩をふってしばらく置き、水分を拭き取り黒胡椒をふり、
オリーブオイルとバターを引いた厚手のフライパンでじっくり焼いていきます。

まずは、このまま、一口いただきます!
おおお~、鳶色の表面から美しいサーモンピンクの身があらわれます。
ぱくり・・・う~ん、美味しい~~~!!!
天然の秋鮭ならでは香り、風味が、たまりません。

脂ののった養殖サーモンもおいしいけれど、それとは違う味わいに魅了される。
なんといえばいいんだろう・・・そう・・・海の記憶、旅の記憶だ。
秋鮭=シロザケは北海道の川で生まれ、オホーツク海から北太平洋、ベーリング海へ北上し、
アラスカ海で越冬、数年かけて成熟し、千島列島沿いに南下、生まれた川に戻ってきます。

幾つもの海を回遊した数万キロに及ぶ旅の記憶が刻まれているのだ。
秋鮭をいただくということは、その海の記憶、旅の記憶を追体験することでもある。
その一口、一口が、とても尊いことに思えてくる。
「いただきます」という言葉の意味をあらためてかみしめる。


海の記憶をたどる秋鮭のサーモンステーキ。
自家製タルタルソースも添えてみましたよ。


今回はちょっとケイパーも刻んで加えてみました。
ケイパーはフウチョウソウ科の花の蕾を酢漬けしたものでサーモンによく合う香辛料。
スモークサーモンなどによく添えられていますね。
爽やかなすがすがしい香りとほのかな甘さがサーモンによく合います。

海の記憶を刻んだ秋鮭のサーモンステーキに自家製タルタルをたっぷり添えて、パクリ。
おおお~、これまた一瞬でさらに華やかな味わいになります。
ケイパーをちょっと入れるだけで、洋食屋さんっぽくもなりますねぇ。
秋鮭とタルタルのマリージュ、ぱくぱくが止まらん♪

ちなみに「タルタル」は中央アジアの遊牧民タタール族(韃靼)が語源だそうです。
生の馬肉を細かく刻んで香味野菜と食べる伝統料理がヨーロッパに伝わり、「タルタルステーキ」として広まり、
茹で卵や玉ねぎ、ピクルスなどを細かく刻んだソースも「タルタルソース」と呼ばれるようになったようです。
フランス語の「タルタル」、英語の「ターター」はどちらも「異国風」という意味合いもあるそうで、
タルタルソースも異国風ソースというニュアンスもあるみたいですね。

秋鮭のサーモンステーキをタルタルソースでいただく。
それは鮭が辿ったいくつもの海の旅と、異国の味わいを同時に楽しめる体験ともいえます。
海の記憶をおいしく追体験。
贅沢な週末ごはんでありました。