フチャギの秋
重陽の朝の札幌は薄曇り。
そうよね~、薄い長袖がちょうどよい季節だったのよね~。
ああ・・・あのノースリーブの暑さが既に懐かしい(笑)。
昨夜、初秋の沖縄から戻ってまいりました。
南国の小さな秋を見つける8日間の旅は
またしてもお土産&お土産話が満載でありました。
新千歳空港に降り立った私の荷物の多さに
「どちらの外国からお帰りで?」と
迎えの夫からも突っ込まれました。
ブログも8日間のお休みを頂き、充電200%となりましたので、
またのんびりとゆる~く沖縄ゆんたく話をお届けしていきますね。
よろしかったら、おつきあい下さいませ。
9月1日の月曜日の午後、那覇空港に到着。
飛行機を降りたとたんに、甘い南国の香りが鼻をくすぐります。
「ただいま・・・」。
ウチナンチューでもないのに、勝手に(笑)心の中で呟く自分。
でも本当に体中の細胞が一気に解放されたような気分になるのです。
南国特有の青空、強い陽ざし、濃い緑、濃厚な花の香り、
甘い果物とかつおぶしと豚肉とアップルパイの匂い。
沖縄を全身で味わおうと細胞が「開く」のであります。
もはや遺伝子レベルで相性がいいんだな~。
午後の日差しがぎらぎら元気に照りつけるなか、
空港近くでレンタカーを借りて那覇市内のホテルにGO!
ナビに目的地を入力、ついでに地元のFMラジオもスイッチオン。
軽やかなBGMに乗せて女性パーソナリティーのお喋りが流れてきます。
「何だか、やっぱり秋って感じですね~」・・・。
「へっ!? 秋って? この暑さ、この陽ざしで? どこが秋?」
運転しながら「???」の私にFMラジオのトークは続く。
「何ていうか、空も高いですもんね~、朝晩もひんやりしてきたし」。
そうか~、そうなのね~、
北海道的には真夏にしか感じない気候も
沖縄的には「ちいさな秋」的兆しがあるわけね。
元気な積乱雲がもくもくしているこの青空も秋らしく高くなっているのね。
よし、今回の旅のテーマは「沖縄のちいさな秋」探し。
初秋の沖縄ならでは魅力を探訪してみましょう。
というわけで、
昨日9月8日、旅の最終日に出会った「沖縄のちいさな秋」からご紹介。
「フチャギ」であります。
市場のあちこちの店先で見慣れないお餅が並んでいました。
赤い茹で小豆がたっぷりまぶされた白いお餅のそばには
「今夜は十五夜 フチャギをお供えしましょう」と書かれています。
そう、これこそ沖縄独特のお月見のお菓子「フチャギ」。
旧暦8月15日に仏壇にお供えするお餅です。
漢字で表すと「吹上餅」となるらしいのですが、
アカマミムーチー、フチャギム―チ―ともいい、
細長いだえん形に成形した白いお餅に
塩ゆでした小豆をまんべんなくまぶされていて、
ちょっと表面にすきまが見えるおはぎのようですが、
お砂糖を使っていないので甘くない素朴なお餅です。
「月は真中に 星はあまくまに
ふちゃぎあかまーみ ぶったくわった」
(月は真ん中に 星はあちこちに
ふちゃぎには小豆がべたべたくっついている)
お餅を月に、小豆を星に例えたこんな愉快な狂歌も残っていて、
農村ではこの日にムラアシビ(村遊び)と称して
豊年祭が行われることもあったそうです。
村の広場に集まり、神アシャギで獅子舞や組踊りに興じる村人たちや
まんまるのお月さま見上げながら、
できたてのフチャギを頬張る子供たちの姿が目に浮かんできます。
沖縄の十五夜には欠かせない「フチャギ」も昔は家庭で作るものでしたが、
今はスーパーやお菓子屋さんで買い求めることが多くなり、
最近は甘く煮た小豆をまぶしたスイートな「フチャギ」もお目見え、
スイーツ全盛の昨今、こちらが主流になるのも時間の問題かという声も。
餅は世につれ、世は餅につれ・・・でしょうか。
今宵は十五夜、その旧暦8月15日に居合わせたのもご縁。
帰りの飛行機の時間を気にしながら、朝の市場に寄って、
地元の人に人気のお餅屋さんに駆け込みます。
大きな木の箱にできたての「フチャギ」がたくさん並んでいました。
「3個入りをひとつと、今すぐ食べたいから、バラでひとつ下さいな」。
「はいはい、んじゃ、一個だけビニール袋に入れましょうね~、
アチコーコー(熱々)だからね~、美味しいよ~」。
おばちゃんがそ~っと渡してくれた「フチャギ」の温もり。
まんまるいお月さまの表面にうさぎの長い耳が見えないかと
お団子頬張りながら、一生懸命探していた子供の頃に
一瞬戻ったような気持ちになりました。
赤子の柔肌のようなできたてのお餅のぽってりした感触、
手のひらにじんわり伝わる手作りの温もり。
最高気温33度の9月の市場の一角で
確かに秋の気配を感じました。
南国の空もいつのまにか高く、
朝晩はひんやりと(地元体感的に)、
そしてアチコーコーのお餅が美味しい。
沖縄でちいさな秋、みつけた。
(写真は)
赤い小豆と白いお餅の絶妙な配色。
ぽってりした「フチャギ」が
南国の市場にちいさな秋を連れてくる。
甘くない「フチャギ」VS甘い「フチャギ」の行方も興味津津。
春夏秋冬、いつ訪れても
沖縄は、魅力的だ。

