自由なパン
洋と
和と
おいしい文化の
ハイブリッド
自由なパン
干すべきか、干さざるべきか、それが問題だ。
朝からハムレットの気分。
薄曇りの春の空を眺めながら洗濯物の運命に懊悩(笑)
昨日は午後の日差しでカラリと乾いたけど・・・う~ん、
とりあえず、今朝は、内干しにしておこう。
半年ぶりの外干し記念日だった昨日4月4日は「あんぱんの日」。
あんこ好きの夫は仕事帰りのコンビニでミニあんぱんをゲット、
小さな可愛いあんぱんで甘い記念日を祝いました。
やっぱ、あんぱんは、日本人のソウルパン、よねぇ。
廃藩置県、四民平等と世の中がぐるりと刷新された明治時代、
あんぱんは「和洋折衷」の画期的な食べ物として誕生しました。
明治7年、銀座の木村屋總本店の初代がイーストの代わりに
酒饅頭の酒麹を使った生地で餡を包んだパンを発案したのが始まり。
南蛮から伝えられたパンと和菓子作りの技法が合体したあんぱんは
まさに「洋」と「和」のハイブリッド、文明開化の大発明でありました。
そして明治8年4月4日、明治天皇が水戸家のお屋敷でお花見された際に、
桜の花びらの塩漬けを載せた木村屋の「桜あんぱん」が献上され、
大層お気に召したとの逸話から4月4日が「あんぱんの日」となったのです。
みんなが大好きなあんぱん。
それぞれお気に入りのあんぱん、思い出のあんぱんがあると思いますが、
私の記憶に残るあんぱんは、「ボヘミアン」という名のあんぱん。
昭和の子供の頃、近所にあったパン屋さんで売っていたのですよ。
そこの、焼きたての食パンでジャムやチョコクリームなどを
店員さんがその場ではさんでくれる「サンドイッチ」が大好きで
よく通っていたのですが、お店のガラスケースに並んでいたのが
少し大きめで表面に切り込みからあんこがのいていて、さらに
白いお砂糖のアイシングが塗られた「あんぱん」。
その名が、「ボヘミアン」だったのです。
おかっぱ頭の子供には「ボヘミアン」という言葉の意味は
さっぱりわかりませんでしたが、普通のあんぱんとはどこか違う、
なんというか、異国的な魅力が漂っているように見えたものでした。
甘いあんぱんの上にさらにお砂糖のアイシングが塗られているので、
「ボヘミアン」はかなりリッチでスイート、
毎日気軽に食べるあんぱんではなく、
ちょっと特別感がある存在でありました。
「ボヘミアン」とはもともと「故地喪失者」を意味する言葉。
戦争や民族的、政治的迫害によって出身地を追われてしまい、
色々な国へ亡命、逃れた人々を表す言葉で、
辞書ではロマの異称ともされています。
さらに言葉は広い意味でとらえられるようになり、
現在では伝統などにとらわれず、自由を謳歌するライフスタイルや
ファッション、アートを表す個性的でポジティブな言葉として変化し、
ボヘミアンファッション、ボヘミアン柄などと言われたりしますね。
西洋で生まれたパンが日本に伝えられ、
和菓子の伝統技法を取り入れて生まれたあんぱん。
さらにそのあんぱんを白いお砂糖のアイシングでお化粧した「ボヘミアン」。
自由で革新的で個性的なあの昭和のあんぱんには
実にふさわしいネーミングだったのかもしれません。
もう、室蘭の実家があった近所には
あのパン屋さんはとっくにない。
どんなに食べたくても食べられない記憶の中の特別なあんぱん。
「ボヘミアン」、それは、とても、自由なパンなのだった。
(写真は)
2023年4月4日あんぱんの日
コンビニのミニあんぱんで
和洋折衷の大発明を祝う


