マロンな秋

マロニエの

枯れ葉が

石畳に

舞い落ちる

マロンな秋

今日から11月。

霜月、霜降月、雪待月、雪見月。

冬の訪れをひたひたと感じる名前がつけられています。

色づいた葉がはらはらと舞い落ちる季節になりました。

毎年、この季節になると・・・恋しくなる街があります。

それは、パリ。

20年ほど前のちょうどこの時季に家族旅行で訪れたのですが、

晩秋のパリの美しさ、素敵さといったら、

もうね・・・街のどこもかしこも芸術作品のようでした。

街路樹のマロニエがが美しく色づき、

枯れ葉がはらはらを舞い落ちる石畳の道を

コートの襟をたてたり、ストールをお洒落に巻いて、

さっそうと歩くパリの人々、もうね、歩くシャンソン♪だった。

マルシェには色とりどりのキノコやどっさり並び、

魚料理が自慢のビストロでは旬の牡蠣のプレートに舌鼓、

老舗のカフェでは焼きたてのパイやカフェオレでひと休み、

秋のパリは世界でいちばん街歩きが楽しい街かもしれません。

そんな秋のパリの風物詩が焼き栗屋さん。

セーヌ川にかかる橋のたもとや大通りの街角やメトロの入口などに

秋の深まりとともに焼き栗の屋台を見かけるようになります。

秋冬のパリ名物「マロン・ショー」です。

「マロン・ショー=marron chaud」。

フランス語で「熱い栗」という意味です。

大きな鉄板の上で栗をごろごろ焼いて売る素朴な屋台から

香ばしい匂いとともに「マロン・ショー!マロン・ショー!」の声が聞こえると

パリの人々はああ、秋が深まったきてなぁ~って感じるのですね。

ちょっと、日本のや~き~いも~♪に似ていますね。

パリのマロン・ショー=焼き栗は

日本の天津甘栗などに比べるとかなり素朴。

ホントに大きな鉄板でゴロゴロ焼いただけのシンプル焼き栗で

ところどころ皮が焦げてぱっくり割れているのがキュートなの。

なんだか、栗が笑っているみたいだったなぁ。

セーヌ川のたもとに佇む焼き栗屋台。

マロン・ショー!とちょっとダミ声で栗を売るおじさんの姿は

なんだか古いフランス映画の一場面を見ているようだった。

パリの魔法か、誰もが俳優に見えてくる。

息子と二人、おじさんに「ひとつ下さい」と焼き栗を指さすと、

紙を円錐形にくるくるっと巻いて、鉄板の焼きたての栗を詰めて、

「はいよっ!」って感じで手渡してくれた。

焼き栗の温かさが冷えた指先にじんわり心地よかったなぁ。

マロニエの枯れ葉が舞い落ちる秋。

「マロン・ショー」の声に誘われて焼き栗を買う。

それだけで憧れの街パリに住んでいるような気持ちになれて、

一瞬、妄想パリマダムになったのだった(笑)

街の季節の風物詩は旅の強力なコンテンツだ。

日本の「や~き~いも~♪」焼き芋屋さんも

海外から訪れる旅人にとって素敵な思い出になると思うな。

旅の醍醐味は、街角にある。

マロンな秋。

旅の思い出に耽る。

それも幸せ。

(写真は)

スペルト小麦の

ブーランジェリー「Qualita」の

アマンド・クロワッサンと

栗のヴィエノワズリー

マロンな秋満喫