酵母の息吹
石窯に
あたためられ
さまざまな微生物が
おいしく協力
酵母の息吹
え、まさか、あの時のホテル?
米大リーグで昨季2度目のMVPに輝いた大谷翔平選手が
全米野球記者協会主催NY支部の夕食会に出席、英語でスピーチする姿が
今朝のスポーツニュースで紹介されていましたが、
ミッドナイトブルーのタキシード姿に魅了されると同時に、
画面にちらりと映った会場となったNYのホテルの映像に目が釘付けに!
あれ?まさか!?Hiltonって、あの時と同じホテルじゃないの???
30代初めのNYひとり旅で泊ったホテルが確か・・・、
マンハッタンのど真ん中にあるヒルトンだった・・・
あわてて調べてみると、果たして・・・あのヒルトンだった。
ニュ―ヨーク・ヒルトン・ミットタウン。
マンハッタンの中心地に位置し、タイムズスクエア、ラジオシティ、MOMA、
ブロードウェイなどNYを象徴するランドマークから徒歩圏内のホテル、
あの建物、覚えているー、大谷選手も同じエンドランスから入ったんだー、
ただそれだけで、なんだか幸せな月曜日の朝でありました。
さて、冬の沖縄旅リポート、哲学のパン編を続けます。
旅の4日目は自然豊かな宜野座村で人気のぎのざジャムを、
沖縄市(旧コザ)の「TESIO」で絶品シャルキュトリーをゲット、
お昼ごはんは泡瀬漁港の「パヤオ食堂」で県民食「魚のバター焼き」を堪能し、
雪の札幌へ帰る翌日の朝食用のパンを買おうと宜野湾市へ。
訪れたのは沖縄パン文化の聖地「宗像堂」。
高台に建つ緑のガジュマルに囲まれた白い外人住宅を改装した店舗には
手製の石窯で焼かれる天然酵母のパンを求めて全国のパン好きが訪れます。
しかし・・・あれ・・?閉まってる・・・?
どうやら、イベントがあるのか目当ての店舗は開いておらず、
敷地の手前にある小さめの外人住宅の扉に控えめなお知らせの紙があります。
「本日、パンはこちらで販売しております」。
おそらく普段は工房などに使っている建物にそっと足を踏み入れる。
木のドアを開けると、木の大きなテーブルの上に、
これまた控えめに幾種類かの天然酵母パンが並んでいました。
「申し訳ありません。この時間はもう、これしかなくて・・・」
奥のカウンダ―の女性スタッフが申し訳なさそうに声をかけてくれます。
確かに、ライ麦パン、カシューナッツとクルミのバゲット、
つぶつぶ麦の角食パンなど3~4種類のパンがひっそり並ぶだけ。
「午前中のうちにほとんど出てしまって・・・ごめんなさい」。
いえいえ、沖縄パンの聖地にのんびり午後3時過ぎに来たこちらの戦略ミス。
しかし、念願の宗像堂のパン、いちじくとクルミのライ麦パンをしかと購入。
手で持っただけでしっかしりしたクラム、ずっしりくる生地の豊潤さを感じる。
まだ暗いうちから石窯に薪をくべ、酵母や小麦と対話しながら焼かれたパン、
この時間にゲットできただけでもラッキーであります。
「宗像堂」は大学院で微生物研究をしていた宗像誉支夫さんと
沖縄のミュージシャン、ネーネーズのマネージャーだったみかさんご夫妻が、
沖縄でいろいろな出会いを重ねて開いた石焼窯の天然酵母パン店。
小麦粉、林檎、長芋、人参、炊いたご飯、黒糖などからおこした酵母が命です。
パン作りにはさまざま菌=酵母が関わることが重要。
そこに良い菌、悪い菌というものは一切なく、ただ美味しいパンをつくるという
目的のもとになるべく多くの菌が集まることによって
本当に奥行きのあるものが生まれるというのが宗像堂のパン哲学。
石窯にあたためられ、おいしいパンになるために、さまざまな酵母が手をつなぐ。
小さな小さな微生物=酵母たちが、人の営みにとって大切なことを教えてくれる。
宜野湾市の静かな高台に佇む「宗像堂」で手に入れた天然酵母のパン。
酵母の息吹は、生命の鼓動そのものなんだな。
哲学するパンに魅せられ、共鳴した才能が「宗像堂」に集まっています。
店のデザイン、ロゴ、テラスの壁に描かれた壁画、リーフレットの写真などなど
アーティストやデザイナー、写真家たちがまるで酵母のように手を取り合う空間は
上質でそれでいて控えめで静謐なギャラリーのようでもありました。
酵母の息吹を感じるパン。
素朴で実直な姿を見ていると
パチパチと石窯ではぜる薪の音が聴こえるようだ。
それは沖縄のエネルギーそのものかもしれない。
明日の朝が楽しみだ。
(写真は)
イブの午後の「宗像堂」
石窯でこんがり焼かれた
真面目な天然酵母パン
酵母の息吹が聴こえる


