ハイヒールとネームホルダーと私
ちょっと嬉しい。
憧れのネームホルダーを胸にぶら下げたから。
自分の名前や所属、顔写真などが入ったIDカードなどを入れて
首からぶら下げるあのネームホルダーです。
フリーランスで仕事をしていると、
「Vister」のカードを身につけることがあるくらいで、
日常的にはネームカードとご縁がありません。
それが最近、講師のお仕事で
マイ・ネームカードをつけることになったのです。
何だか、憧れていたんですよね~。
昼休みの都心部などで見かける、
Yシャツ姿やワーキングファッションの胸から下がった
色とりどりのネームカード。
男性たちは大抵、胸ポケットにカード部分を入れていて
ストラップだけが独特のJカーブを描いていて。
「僕たち、私たち、お仕事してます!」的な、確固たるカッコよさ。
そんなことを感じるのは、所属先のないフリーランスだからか(笑)
局アナだった当時は、まだIDカードなんてなかったもんね。
今思えば、セキュリティーも平和な時代だった。
で、思いだした。
ネームカードよりもず~っと前、気圧される思いで聞いた音がある。
カッカッカッ・・・
アスファルトを颯爽と歩くハイヒールの音だ。
子供がまだ赤ん坊で、仕事をセーブしてた一時期、
育児は大変だけど一生懸命だったし、
何より我が子は可愛かった。
でも、それとは、まったく別次元で、乾いた焦燥感を抱えていた。
現場を離れて仕事ができるのだろうか。
はたしてまた仕事のオファーが来るのだろうか。
マイクの前から離れていて、喋りが錆びてしまわないだろうか。
ニュースが読めなくったらどうしよう。
小さな息子を寝かしつけた食卓テーブルで朝刊を音読していたあの頃。
息子を抱っこしながら朝刊を取りに行ったついでに
マンションの前の桜並木を見上げていた。
「きれいねぇ~、桜、もうすぐ、咲くね~」
赤ん坊に話しかける私の横を、朝の通勤で地下鉄に向かう女性が
ハイヒールの音も高らかに通り過ぎていった。
カッカッカッ・・・
私にもまたハイヒールをはける日が来るんだろうか。
勝手に打ちのめされ、
勝手に敗北感を感じたあの朝。
「待機児童ゼロ」をキーワードに
国、自治体共に、女性・子育て対策に本気モードを感じる昨今ですが、
ネームカードもハイヒールも働くために実は重要ではない。
あのハイヒールの朝から、
幸いにも私はこうして仕事を続けることができていますが、
働きたい女性が仕事を探す段階から安心して子供を預けられる
本当の待機児童ゼロの環境がまず前提だと思います。
働く意欲のある女性が勝手な敗北感を感じないで済む環境。
「仕事って、大変だけど、ないと困る。母ちゃんの一部だから」
働く母親たちが普通に子供たちに語れる社会。
一緒に作っていかなくちゃ、ね。
(写真は)
憧れのネームホルダー。
白のレザーがお洒落でしょ?

