枯らしたくない葉
道草をして遅くなった子供に母親が言う。
「どこでじゃこしかしてたの」。
じゃこしか。
初めて聞いた言葉。
でも、言わんとする意味は何となく想像がつく。
そして、何だか懐かしい。
昨日の北海道新聞の読者エッセイに書かれていた「じゃこしか」。
筆者によると、
樺太引き揚げ者である亡き母親がことあるごとに使っていた言葉だそうです。
たとえば、飼い猫がいなくなった、「どこでじゃこしかしてるのかなぁ」。
意味は「放浪」とか「ぷらぷらしてる」とか「道草・寄り道」というところか。
しかし北海道方言にはない。
どうやら、北極圏からヒマラヤ山脈にかけての中央アジア山岳地帯に生息する
「麝香鹿」(ジャコウジカ)が語源らしい。
今や絶滅の危機に瀕し、ワシントン条約の保護規制を受ける動物の名が
中央アジアから樺太まで浸透し、
大自然を彷徨するさまを表す言葉として暮らしに根付いていったのだろうか。
言葉のグレートジャーニーだ。
「じゃこしか」
樺太引揚者の母から道産子の娘へ引き継がれた、
味わい深く壮大なイメージを内包する言葉の運命は
この後どうなっていくのだろう。
言葉は生き物。
使う人がいなくなれば、そっと音もなく、消えていく。
日本全国にあった美しく懐かしい方言、故郷の言葉も
その多くが時代の変化、メディアの普及とともに、失われていった。
そして震災後、故郷を分断された被災地では、急速な速度で
貴重な方言が消滅しつつあると報告されている
断末魔の声さえあげずに、静かに枯れていった言の葉たちよ。
初めて聞いたのに懐かしい「じゃこしか」の響きに、
枯らしたくない言の葉のことを思う。
そして今朝の朝日新聞の1面を飾った写真。
一瞬、アーティスティックなテキスタイルにさえ見えるのは
8世紀中頃のトルコ系遊牧民「突厥」(とっけつ)の巨大碑文に刻まれた文字。
大阪大大学院大澤孝教授のチームが
モンゴル東部の草原で発見したことを伝える記事でした。
「我が土地よ、ああ」「我が家よ、ああ」と解読される文面は
死者が家族や故郷との別れを惜しむ場面ということですが、
その文字の美しいこと。
楔文字がモダンアートなグラフィックデザインに仕上げられたよう。
見る者の美のインスピレーションを掻きたてる魅力に満ちています。
「突厥」は中央ユーラシアの遊牧民族で
もっとも古い独自の言語と文字を残しました。
大草原の遺跡の中で1200年余りの眠りから覚め、枯れずに、姿を表した文字。
これもまた、美しい言の葉であります。
この力強く美しい文字を使った人々は
どんな顔をして、どんな暮らしをして、何に笑い、何に涙したのか。
枯れずに残った言の葉に、はるかな想像をめぐらすと同時に、
「なんもさ」、
「ちょっと、いずい」、
「だはんこき」・・・
枯らしたくない愛すべき北海道の言の葉を思う。
昨日7月16日(火)番組リニューアル初日、
夏の新たなスタートをきったUHB「さあ!トークだよ」。
血も涙も通った生きた北海道の言の葉を大事に、
楽しく、時に過激に、スパイシーに、
テレビの向こうの皆さまと「トーク」したいと、思っております。
初回は、ちょっと大人しいいい子の(笑)スタートでしたが、
心地よい毒と牙を(笑)磨いていくべく、努力精進いたします。
あらためて
よろしくお願いいたします!
(写真は)
新「さあ!トークだよ」
月・火の「阿吽」女子コンビ。
榊菜美アナと番組終了後、メイク室で2ショット♪
チアガール出身の榊アナ、
すんなり伸びた長い脚と高い身体能力に理系の頭脳を備え、しかも性格美人!
番組進行のナビゲーション能力はずば抜けております。
安心して(笑)年齢差を超えた女子トークを炸裂させるのが
野宮範子の使命か。
これからの化学反応をお楽しみに。

