涼しい美瓜
夏野菜が美味しい。
トマト、ズッキーニ、枝豆、とーきび。
食べた瞬間に、乾き疲れた細胞が潤い、元気を取り戻します。
暑い夏を乗り切るには、夏生まれの野菜が欠かせません。
今年は我が家の食卓に、さらに新顔が加わりました。
シブイ。
冬瓜のことを沖縄ではこう呼びます。
大きいものだと10Kg、小さくても2~3kgはある大型の夏野菜。
昔ながらの商いスタイルが魅力の農連市場でも
地べたに豪快にごろごろ並んでいました。
最近は札幌のスーパーやデパ地下にも入荷するようになりました。
夏野菜なのに「冬瓜」。
冬まで保存できるところからついた名前のようですが、
沖縄方言の「シブイ」も不思議な名前。
素瓜、白瓜がなまった呼び方と考えられるそうです。
確かにつるつるした薄緑のお肌が涼やかな夏野菜です。
近所の沖縄食材の専門店で1kgほどの小さめのシブイを発見。
これなら少人数の我が家でも大丈夫と、さっそく購入。
半分割ると、それは美しい白い果肉があらわれる。
緑の筋が残らないように、厚めに皮をむいて、ふわふわのわたと種をとって、
濃いめのかつおだしでゆっくり柔らかく煮込んでいく。
鶏ひき肉かツナを加えて、ほんの少しのお醤油とマース(塩)で味をつけ、
片栗粉でとろみをつけたら、
「シブイのンブシー」、「冬瓜の煮もの」の出来上がり。
淡白で香りもクセもない冬瓜は
「あなた色に染めて」・・・的な誘惑に満ちた食材であります。
料理する方に無言の覚悟を強いる色白の美女。
手を抜けば、抜いただけの味にしかならない。
手をかければ、素材の良さが匂いたち、極上の女・・・いやいや、一皿になる。
花売り娘イライザを前にしたヒギンズ教授の気持ちがよくわかる。
よって、かつおだしも
那覇の市場で買ってきた沖縄の鰹節で贅沢にとりました。
暑い土地柄からか、黴をつけない独特の製法で作られる沖縄の鰹節。
しかも血合を除いた極上品だ。
イライザ、いや、シブイの素材を引き出すのにこれ以上の材料はあるまい。
もっと早く出会いたかった・・・
なんて、君は、美しく、美味しいのだろう。
市場でごろごろ転がっていた姿からは想像できない上品滋味な味。
カリウムやビタミンCもたっぷり、
最近の研究では抗ヒスタミン作用も確認されている夏野菜、シブイこと冬瓜。
温かいまま戴けば、夏冷えのお腹を優しく癒してくれるし、
冷やした一皿は、まさに一服の清涼剤。
マツコではないが、「飲みたい」くらい(笑)
魅惑的なシブインブシー「冬瓜の煮もの」。
我が家の夏の定番、クリーンナップの一翼に定着です。
シブイ。
美しい夏の瓜。
冬までおあずけなんて、無理。
(写真は)
メインがお肉だったので、
ツナと合わせて煮込んだ「野宮的シブインブシー」。
読谷村北窯のイッチンの大皿によくお似合い。
美瓜は器を着こなす。

