魂のうつわ
遠くからかすかに聞こえてくる太鼓の音。
盆踊りの季節です。
ご近所の商店街でも小さな櫓が組まれて、
金魚すくいに焼き鳥の屋台、生ビールとまるで夏祭りのような楽しさ。
ご先祖様も賑やかに迎えられた方がテンションがあがるというものです。
大切な人たちの魂も
盆太鼓の音を聞くといてもたってもいられなくなるでしょう。
あの魂のうつわから、しばしのおでかけ。
厨子甕。
「ジーシガーミ」と読みます。
琉球王国時代から700年前にわたって作られてきた沖縄の「魂のうつわ」です。
風葬で埋葬された遺骨を納める陶器の器。
平たく言えば骨壷ですが、ただの骨壷ではありません。
多くは家の形をしていて、美しい装飾が施されています。
その精神性や美しさが民藝運動の柳宗悦らからも絶賛され、
美術品としても高い評価を受けましたが、
火葬が主流となった近年は厨子甕を作る人もわずか数人に。
このままでは美しい「魂のうつわ」が幻になってしまう。
沖縄の美を後世に伝えようと
文化発信基地、桜坂劇場の2階にあるギャラリーが
「厨子甕プロジェクト」を立ち上げました。
第一線で活躍する陶芸家に制作を依頼、
現代のやちむん作家たちが魂を込めて手づくりし、
登り窯の炎で生み出された逸品が今に蘇ったのです。
春と夏、訪れた沖縄で
この美しい厨子甕に二度も出会える幸運に恵まれました。
いつまででも眺めていたくなる。
見つめているとなぜだかほっとする。
あたたかい何かに包まれているような感覚。
沖縄の終の家だ。
琉球王国時代の昔から
魂は厨子甕に守られ、自由に遊んでいました。
その証拠によく見ると、小さな穴が開けられています。
これは魂が自由に出入りできるようにしたもの。
この穴から魂は外に遊びに行き、
戻ってきたときに悪い霊をいっしょに中に入れないように
しゃちほこや蓮の花などの文様が描かれているのです。
あの世とこの世をゆるやかに結ぶ「魂のうつわ」。
なんて素敵な発想でしょう。
盆踊りの太鼓や三線やエイサーの賑やかな音に誘われて、
いそいそと魂が小さな穴から自由に出たり入ったりするなんて
なんてキュートな死生観でしょう。
この世のどこにもいないと思っていた亡き人は
この世のどこにもいるということ。
会いたい、話したいと祈れば、
いつでも、あの小さな穴を通って、自由に遊びに来てくれる。
死者と生者は厨子甕の小さな穴を通してつながっている。
大きなものから小さなものまで
作家の個性がさまざまに現れた厨子甕ですが、
基本サイズは夫婦二人が入る二人用だそうです。
究極の夫婦愛。
死が二人を分かつまで・・・どころか、
骨になっても添い遂げねばなりません(笑)
一緒のお墓どころか、骨壷まで一緒なのですから。
厨子甕。
究極の夫婦愛リトマス試験紙かも。
婚活も厨子甕選びも
慎重に慎重に(笑)。
☆本日8月16日(金)のUHB「さあ!トークだよ」は
「青ちゃんの今夜なに食べる?」お題は『パンケーキ』♪
行列のできる人気カフェのふんわりパンケーキがおうちでできちゃう!
お盆フルーツもお洒落にトッピング。必見です!
(写真は)
壷屋通りに並ぶ厨子甕。
その魅力にオブジェとして飾る人も少なくないそうです。
魂のうつわに守られる空間。
「作り始めると夢中になって、気がつくと真夜中。
手が止まらなくなった」
制作依頼を受けたある作家さんの言葉です。
創作魂を揺さぶる不思議な磁力に溢れた終の家。
魅力的すぎる。

