密林に遊ぶ
読書の季節は秋で終わりではありません。
おうちの中で過ごす時間が長い冬こそ、本と仲良くなれます。
本日11月16日(土)AIR-G’「野宮的コフレ」のテーマは
「読書の冬」。
お気に入りのブランケットにくるまって、温かいカフェオレなどを傍らに
さあ、読みたかったあの本のページをめくりましょう。
桐野夏生の最新刊「だから荒野」、
別冊太陽「郷土菓子」、仲村清司「本音で語る沖縄史」、
四角大輔「やらなくてもいい、できなくてもいい。」などなど
冬に向かって読書欲は盛り上がる一方。
そうなると読みたい本が次から次へと出てくるもので
まさに読書の冬を実感しています。
本を読む楽しみ、探す楽しみ。
大きな書店で本の摩天楼をクルーズするのもたまらないし、
小さな古本屋さんは深い密林を探検する知的冒険が楽しめます。
本に個性があるように本屋さんにもそれぞれの味わいが。
飛行機に乗ってでも訪れたいお店が沖縄にあります。
日本一狭くて、日本一可愛らしい古本屋さん。
「市場の古本屋ウララ」です。
那覇のど真ん中。
観光客や地元の人でいつも賑わう牧志公設市場。
その市場の出入り口に軒を借りるように
小さな小さな古本屋さんが店を広げています。
木の書棚がパズルみたいに狭いスペースに配置されたお店は沖縄本の小宇宙。
歴史、文化、食、文学、思想、芸術書、地図、雑誌、画集、写真集・・・。
書棚に置ききれない本は
市場のお惣菜のように気取らずに平積みされています。
沖縄の人にとって本とは
ニンジンシリシリやクーブイリチーのように
暮らしに欠かせないおかずなのかもしれません。
沖縄の出版文化の高さは群を抜いています。
地元の版元はもちろん、学校、自治体、個人も本を出します。
年中行事の本がお餅屋さんの店先に置かれて
それが週に100冊売れる、なんてこともあるほど。
暮らしの中に本が根づいているのです。
東京の出版社に勤めていた女性が
そんな沖縄の本好き風土に惹かれて開いたのが、
この小さな「市場の古本屋ウララ」でした。
沖縄に行くと必ず立ち寄る定番お気に入りスポット。
市場で仕入れたアグー豚の塩漬け「スーチカー」や
沖縄独特のかつお節「カチュー」なんぞが入ったビニール袋をぶら下げて
ふらりと小さな本の密林に分け入ります。
沖縄雑誌のバックナンバーや絶版になった年中行事本、
民俗学的資料にもなる離島の貴重な写真集などなど。
ウララの森に入ると、この世の時計は役に立たなくなります。
時間を忘れて本の密林の奥深く、背表紙を追っていると
陽が高かったはずなのに、いつのまにか薄紫色の夕暮れに。
ふと・・・どこからか三線の音が聞こえてくる・・・。
手元の本から目を上げると、
お向かいの楽器屋さんのにいにいが無聊を慰めるように
年季の入った三線をつま弾いていました。
このまま、沖縄本の密林で迷子になってしまいたい。
そんな危険な誘惑にかられる至福のひととき。
活字中毒症や沖縄病の気配のある方は心して訪れてみて下さい(笑)
日本一狭い日本一可愛らしい、日本一危険な(笑)古本屋さん。
那覇の市場にへばりつくように
今日もお店を広げているはずです。
読書の冬。
この週末、何を読みますか。
(写真は)
沖縄から連れて帰ってきた沖縄本のごく一部。
ほとんどが沖縄県内の版元から出版されています。
版元の住所も、那覇、糸満、南風原・・・
地元の本を、地元で出して、地元で売って、
地元から世界へ発信する。
密度の濃い出版文化も沖縄の魅力のひとつだ。



