どんつきどんつき

どんつき、どんつき。

朝7時、札幌中心部の住宅街。

頑丈な石造りの建物の中から規則正しい音が響く。

昔ながらの餅つき機械「どんつき」が今朝も生真面目に働いている。

使い込まれた石臼に杵がリズミカルに振り下ろされ、

熟練の手によって、熱々のお餅が小気味良く返されていく。

傍らには大福を包む職人さんとたくさんのあんこ玉が待ち構えている。

庶民に愛されてきた「朝生」の風景だ。

昨日19日(火)のUHB「さあ!トークだよ」のテーマは

「冬・食べたくなるあんこスイーツめぐり」

あんこを語ると番組が終わってしまうほど溢れる「あんこ愛」を

いかにコントロールするかが大変でした(笑)。

老舗から新感覚あんこが続々と登場、

スタジオでは老舗「お茶の玉翠園」3代目の玉木さんが

そのあんこに最適の極上のお茶を淹れて下さる。

あんこ、お茶、あんこ、お茶・・・極楽のエンドレス。

あんこ天国の最初に登場したのが

「どんつき」がいまだ現役の昔ながらのお餅屋さん「元祖雷除志ん古」。

およそ150年前に小樽で創業、札幌のお店は4代目がその味を守っています。

「かみなりよけしんこ」と読む不思議な名前の由来は

「昔は雷で停電することが多く、線香が燃え尽きる時間で蒸し時間を計った」とか

「名物の草しんこの歯ごたえが雷に負けないくらい強いから」とか

諸説伝わるのも、店の歴史を物語ります。

「草」はつぶ、「白と豆」はこし。

塩の利いたしょっぱいあんこの炊き方、練り方。

男の手のひらからさえ余るほどの大ぶりなお餅。

どれも初代からそのまま守り続けて150年。

しょっぱいあんこは港町小樽の伝統です。

浜の人たちは塩気の利いたあんこが大好き。

かつては鰊漁で賑わい、大小の船が港を行きかった北の商都。

海や浜や港で日々きつい労働に明け暮れる人々を支えたのが

しょっぱくて大きな「朝生」のあんこ物だったのです。

その日のうちに食べきるため朝早くから作られる大福やお団子。

夜も明けぬうちからもち米を蒸し、どんつきどんつき、

熱々のお餅を手早く丸めて、しょっぱいあんこを包んでいく。

朝一番からできたてのお餅を楽しみに町の人がやってくる。

売り切れたら店じまい。

それが「朝生」。

冬の町。

まだ暗いうちから起きだして、その日の仕事に向かう人の群れ。

白い息の向こうに、一軒だけ早くも灯りをともした店がある。

もち米が蒸し上がる白い蒸気が凍えたほっぺたを暖めてくれるようだ。

どんつき、どんつき。

店の奥から聞える餅つきの音。

「おはようさん、草大福ひとつ」

まだ温もりを残した分厚いお餅としょっぱいあんこが口いっぱいに広がる。

今日も一日がんばれそうだ。

朝いちばん早いのは、あんこ屋。

あんこさえあれば、

それだけで生きていける。

どんつき、どんつき。

(写真は)

どんつきで真面目についた大福と草しんこ。

お餅の厚さが

明治、大正、昭和、平成、150年生き抜いた歴史だ。

あの作業場の「あんこ玉」・・・

ひとつでいいから、つまみ食いしてみたい。