春知恵野菜

8%、8%、8%。

4月1日の朝刊1面は各紙とも

消費税率引き上げ開始の見出しで埋め尽くされています。

国民最大の関心事ですものね。

生活防衛はもちろん、増税分の使い道にしっかり関心を持ちたい春、

同時にけさの北海道新聞のコラムで紹介された言葉にはっとしました。

「春窮」。

古い歳時記にのっている季語で

冬に蓄えていた穀物を食べ尽くし、初夏の麦やジャガイモの収穫期まで

飢えにおびえる春のことをいうそうです。

中国や朝鮮半島にも古くから同じ言葉が残るようですが、

痛切な響きを伴う春の季語。

作物の端境期であると同時に

時の圧政、増税が暮らしの困窮を深めたとも言われます。

平成26年の春、

「死語といわれる言葉が再びよみがえる日が来るかもしれない」と

コラムには綴られていました。

8%がもたらす春窮。

でも北の大地は負けない。

残雪残る春のビニールハウスではアスパラ、レタス、トマトがたわわに実り、

道産子春野菜の出荷が始まっているとの記事が別の頁に載っていました。

本来なら初夏や盛夏に収穫されるアスパラやトマトですが、

栽培技術の高まりや農家さんたちの熱意が実を結び、

続々先取り出荷が可能になってきました。

一足早い旬の味は人々の知恵の賜物。

ここ10年ほど前から

出来るだけコストを抑えるために石油などによる暖房を使わず、

ハウスを2重3重に覆ったり、地面に温泉パイプを這わせたりと

さまざま工夫を施した無加温栽培が広がり、

春レタス、春トマト、春アスパラが収穫できるようになったのです。

温度の管理など作る方の手間はかかりますが、

気温の高い夏に比べて、

虫がつかない、葉野菜の形がきれいにできるといったメリットも。

消費者にとっては

本州産に比べて輸送の時間と経費のかからない新鮮な地元野菜が食べられるし、

生産者にとっては冬場の農作業が可能になり、出稼ぎに行かずに済むようになる。

北海道の農家さんにとって、年中土に触れられる喜びはどれほど大きいことか。

弟子屈町では温泉熱を利用した摩周湖マンゴーの出荷も始まりました。

極寒完熟マンゴー「摩周湖の夕日」、糖度は20度超え。

昼間は温泉熱でハウス内の温度を上げ、夜間は温泉を止めて温度を下げ、

その寒暖差がマンゴーの糖度をぐっと上げるとか。

開拓の昔、春窮に苦しんだ先達の思いを無駄にしない生産者たちの努力には

ただ食べるだけの私は、頭を垂れるのみであります。

柔らかい春アスパラ、みずみずしい春レタス、温泉育ちの春トマト。

残雪の春に出荷が始まった春知恵野菜たち。

京都の筍に負けない北国の知恵が育んだ旬の味。

長く厳しい冬を知るからこそ、

春窮を知恵で乗り切る。

さあてと、我が家はどこから節約しますか。

乾いた雑巾を絞る努力を楽しもう。

(写真は)

2014年4月1日、8%の夜明け。

陽の力は日に日に力強さを増してきた。

暖房もつけなくなった。

洗濯物も外に干せるようになった。

電気代は浮くし、朝日を浴びるだけで心が元気になるから、

医療費もかからない(はず)。

春豊の季節にしよう。