一期百会
いつかまたこのジーマミー豆腐たちに再会を。
惜別の念とともに琉球の味をかみしめました。
しばしのさよなら。
洗練された沖縄料理を良心的なお値段で食べさせてくれた
お気に入りの隠れ家料理屋さんがまもなく店じまいすることになりました。
出会って2年。
家族の食事会や女子会などなど折に触れて訪れていただけに
とても淋しい春のお別れであります。
ご主人特製の尚家伝統の琉球おせちももう食べられないのですね。
出会いがあれば別れがあるとはいえ、
舌や胃袋に刻み込まれた記憶はふっきれません。
昨夜は母の誕生日祝いを兼ねてお別れの食事会に伺いました。
前菜六点盛りにはいつもの特製ジーマミー豆腐。
生の落花生から手作りしたぷるんぷるんの食感と
鼻に心地よく抜けていく香ばしい香り。覚えておくね。
コリコリのミミガー(豚の耳)の歯触りも気持ちいい。
「お誕生日おめでとう!」&「美味しさをありがとう!」
日中は那覇と同じ気温まで上がった初夏のような札幌、
乾杯の生ビールの味も格別であります。
わあ・・・今晩はお正月みたい。
豚肉の黒胡麻蒸し「ミヌダル」もあります。
一面真っ黒のハードなヴィジュアルですが、
優しくあっさりと、それでいて香気あふれる格調高い一皿。
肉自体の脂は落とし、黒胡麻の油と香りを載せる高度な調理法は
何日間も手間と時間のかかるものです。
「東道盆(とぅんだーぶん)」と呼ばれる琉球王朝料理の一品で
昔から正月や生まれ年の干支を祝う生年祝いなど
祝い料理に用いられてきました。
バースデーにはぴったり、お別れには淋しい。
小さな黒いお肉の深い味をしみじみ堪能しました。
小さなこのお店のテーブルで琉球の味とともに
何人もの人々と楽しく和やかに過ごした時間が蘇ります。
いつも物静かに絶妙のタイミングで
お料理を出してくれたご主人の穏やかな笑顔は忘れません。
札幌を離れた後の予定はまだ決まっていないそうですが、
そう遠からず尚家の味は
東京か沖縄か、日本のどこかで受け継がれていくはずです。
いつか、どこかで、きっと、また会える。
美味しいものと、素敵な人とのご縁は
一期一会では終わりません。
一期百会。
いつか、どこかで、きっと、また食べたい。
このジーマミー豆腐、ミヌダル、
じゅーしー(沖縄炊き込みご飯)にイナムドゥチ(沖縄豚汁)・・・。
ごちそうさまでした。
いつかまた、きっと会いましょう。
(写真)
最後の晩餐の前菜6点盛り。
やはりミヌダルの存在感が光っております。
別名「黒肉(くるじん)」。
中華料理でも日本料理でもない、
あちこちの影響を受けながら独自に工夫された料理には
沖縄のアイデンティティが込められている。
札幌にいながら琉球王家直系の味が堪能できた幸せに
あらためて感謝です。

