君影草の朝

え~っと・・・念のためにカレンダーを確認しましたが、

間違いなく6月です。

まだ初夏です。

しかし、朝から元気にセミが鳴いています。

太陽はぎらぎらと攻撃的な眩しさで昇ってきました。

ほとんど、真夏なんですけど。

全国的に時ならぬ猛暑に見舞われていますが、北海道も例外ではなく、

本日の予想最高気温、北見35度、旭川・帯広33度、札幌31度、

那覇の予想気温は30度ですから、沖縄より暑いって、

いったい爽やかな初夏の陽気はどこにいったの・・と思っていたら、

ひっそりと静かな6月が花開いていました。

白い小さな鈴のような君影草です。

「君影草」、「谷間の姫百合」とも呼ばれる可憐な初夏の花「スズラン」。

昨日に続いて朝刊を取りに行ったついでに朝のプチ散歩をしていたら、

マンションの通用口の芝生の際に小さな白い花を発見。

壁際にひっそり慎ましく咲いていたのは、

大好きなスズランの花ではありませんか。

もう20年も住んでいるのに、いつからここに咲いていたのでしょう。

控えめで清楚で可憐な初夏の花。

本当はこんな女性になりたかったのだが(笑)。

子供の頃、母の実家があった旧早来町には

それは見事なスズランの群生地があって、

長靴をはいてスズラン狩りに行くのが楽しみでした。

朝露に濡れた白い花はいっそう高貴な香りが匂い立ち、

夢中で抱えきれないほどのスズランのブーケを作ったものです。

その瞬間だけ、長靴はいたおかっぱ頭の少女の気分はジュニア小説の主人公。

「私は色白で髪の長い清らかな薄幸の美少女・・・」でしたな~(笑)。

スズランには女性の中の「少女性」を刺激させる魅力があります。

静かにひっそり佇みながらも

「誰か気づいて、誰か見つけて、私のことを、私の中の美しさを」。

そう語りかけてくる少女の魅力、魔力?

「誰も見ていないところでも、人のために・・・

 そういう品性で人の美しさが決まる」。

美容ジャーナリストの斎藤薫さんがエッセイでこんなことを書かれていました。

例に取り上げられたのが「洗面所の水滴」。

オフィスやレストランやホテルやデパートなどの洗面所、

手を洗った後には飛び散った水をさっと拭く。

単純に基本的なマナーだから、ではなく、次に使う人のため、見知らぬ人のためと

心から思えるかどうかが品格の分かれ目。

そうした心持ちこそが、「日本の美容」であると。

誰も見ていないところでも、人のために想像力を働かせる。

本当のキレイって、多分そういうことなんだろうと思います。

どんなに美しく造作されたホテルやレストランのトイレでも

トイレットペーパーがいかにも「引きちぎりました~!」的な感じで

無様にホルダーから垂れ下がっていたりしたら、気分は急降下。

前に使った人の品性は美しい化粧室にお似合いとは言えません。

残念ながら、そんな可哀そうなトレペ、たまに遭遇します。

三角折とまでは言いませんが、せめて真っ直ぐちぎりましょうよ、ね。

小さな芝生の隅でひっそりと咲く君影草を見ていたら、

誰も見ていなくても、ちゃんと、キレイに生きていこう。

自分の中の品性がすっと姿勢を正したような

そんな気持になりました。

あ、洗面所の水滴、もちろん、いつもさっと拭いてますよ。

自宅でもよそでも。

夫にも、そう躾けています(笑)。

(写真は)

徒歩圏内に咲いていた「谷間の姫百合」。

パリでは5月1日「ミュゲーの祭日」に

スズランの花束を贈りあう習慣があります。

花束を贈る人には幸福が訪れるとか。

真夏日にも涼やかに咲く白い可憐な小さな花。

スズランの花言葉は

「意識しない美しさ・純粋」。

心にメモしておこう。