背筋美人

美しい人は背中も美しい。

バレエ「瀕死の白鳥」の冒頭場面、

客席に背中を見せながら登場する現役時代の草刈民代さんの映像は

まさに「背筋美人」でありました。

両腕が白鳥の翼のように上下するたびに

しなやかで強靭な背筋や肩甲骨回りのあらゆる筋肉が連動する。

これぞ憧れの「はいきん美人」。

日本にバレエを伝えたロシア人女性の足跡を追うドキュメンタリーでの

一場面だったのですが、余りに美しい背中に見惚れてしまいました。

現役バレエダンサーの背中は踊るために必要な筋肉以外、一切無駄なものはない。

その背中の複数の筋肉がしなやかに複雑に連動するのを見ていると

白鳥が飛翔するメカニズムがよくわかります。

鳥は翼があるだけでは飛べない。

翼を動かす強靭な筋肉によってはじめて美しく羽ばたけるのです。

美しいボディメイクのためにお腹まわりはよく気にしますが、

意外に忘れられがちなのがこの「背中」。

ドキュメンタリーの中で件のロシア人バレエ教師も指摘していましたが、

特に日本人は上体が固い人が多いといいます。

かくいう私も背中の固さは天下一品。

荒川静香のイナバウアーなど同じ人間に思えない。

だって私の背筋は洗濯板のように頑なな一枚板、

しのらない、曲がらない、反らないの三重苦(笑)。

この背筋コンプレックス解消が目下の課題であります。

美しい人は大抵背中も美しい。

バレエダンサーもハリウッド女優もパリコレモデルも

彼女たちの立ち姿やドレス姿を完成させる大事な要素が

完璧で美しい背中のS字曲線であります。

背骨にそってキレイに窪み、緩やかなカーヴを描く背中のラインは

相当な日々の鍛錬によって生み出され、キープされているはず。

美人は背中を意識しているらしい。

だって「はいきん」は沈黙の筋肉。

普段の日常生活で意識することなんてほとんどありませんよね。

お腹を引っ込めようと腹筋を意識することはあっても背中には気が回らない。

でも美しい姿勢を維持するのも、しなやか腕の動きを生むのも

そうお腹を引っ込めるためにも重要なのが「背筋」なんだそう。

ダンサーやアスリート、モデルさんなど美しい人の背中には

必ず鍛えられた美しい「背筋」が隠れているはずです。

日本で一番の背筋美人は奈良の薬師寺におられます。

国宝の日光・月光菩薩のお背中の美しいことといったら。

何年か前の薬師寺展で

普段は見られない仏像の背面が公開されたことがありましたが、

その背中のS字ラインと窪みは空前絶後の美の極致。

菩薩様ったらどんな背筋トレーニングされてらっしゃるのかしら。

あおによし 奈良の都の 背筋美人。

いつかその秘密を尋ねに薬師寺まで旅したいもの。

ま、とりあえず、地道に地味に背中のトレーニングトレーニング。

近頃の微かな背中の筋肉痛もちょっと嬉しい(笑)。

筋肉痛も背筋美人への一里塚。

美人は一日にしてならず。

(写真は)

その昔エジプトで買ってきた古代神像の頑なな背中。

あらためて眺めてみれば何と真っ直ぐな洗濯板ライン。

イナバウアーは難しそうだ(笑)。

余計なお世話か。