ソウルポテト

今どき女子高生のアイドルは、ポテロー、らしい。

イチローではない、ポテローだ。

正確に言えば、スシローで食べるフライドポテトである。

回転すしチェーン「スシロー」が

サイドメニューとして始めたフライドポテトが美味しいと大評判、

女子高生が制服姿で押し寄せる人気となっているらしい。

あくまでマグロやサーモンの脇役として加えたはずが今や堂々の主役。

お寿司を取るより先にまずポテトを手に取る、

「とりあえずビール」ならぬ「とりあえずポテト」現象が起きているのです。

この週末、1泊ゴルフに出かけた夫が苫小牧のホテルで

まさにこの「とりあえずポテト」現象を目撃しました。

朝食のレストランは合宿旅行らしい女子高生で大賑わい。

和洋食よりどりみどりのバイキングスタイル、

めったに遭遇しない女子高生たちがどんな朝食をチョイスするのか、

興味津津で眺める夫もかなり怪しいおじさんですが(笑)、

近くに座った女の子のトレイの上は、

オムレツ、ソーセージ、フライドポテト、サラダにご飯とお味噌汁。

「おお、なかなかバランスが取れているではないか」と感心した次の瞬間、

「いただきま~す!」と食べ始めた彼女が

まず最初に箸をつけたのは味噌汁でもご飯でもなく、フライドポテト。

「へ?まずは味噌汁じゃないの?」

昭和生まれの夫は相当驚愕。

「だから~、平成生まれにとってはフライドポテトが、

昭和生まれの味噌汁なんだって」。

帰ってきて驚愕の報告をする夫に解説をしてあげました。

新潟生まれのお米男にとっては、何はなくてもお味噌汁。

「いただきます」→「まずは味噌汁を一口」の流れが体に沁み込んでいるように、

今の子供たちにとっては、何はなくてもフライドポテト。

何も考えずに手が伸びる、ソウルフードなのかもしれません。

友達と入る放課後のファストフード店、

おなかがすいていても、すいてなくても、まずはポテト。

お小遣いに余裕があっても、なくても、ポテトなら買える。

小さな袋から一本一本つまみながら、

あーだこーだ、他愛ないお喋りがいつまでも続く。

フライドポテトは小さな頃からいつもそばにあって、

いつでもどこでも(回転寿司店でも焼き肉屋でも)食べられる、

そう、空気みたいに、あって当たり前のソウルフード。

ご飯や味噌汁が並んでいても、無意識にまずはポテト。

考えるより先に手が出てしまう、ソウルポテト、なのかもしれません。

そういえば、以前に泊った那覇のホテルの朝食レストランでも

台湾からの観光客らしい長い黒髪のスレンダーな美少女のお皿には

フライドポテトだけが山盛り、それにケチャップをつけながら

気だるそうにつまんでいたのが印象に残っています。

新鮮なマンゴーやブルーベリーや島豆腐や沖縄野菜がいっぱいあるのに、

朝の食卓にはフライドポテトだけ。

ソウルポテト現象は世界共通なのだろうか。

ああ、そうだった。

5月の東京、老舗ホテルの朝食レストランは豪華ブッフェが名物なのに、

お隣のアメリカ人のおじいちゃんのお皿には

カリカリベーコンとポテトだけしか載っていなかったっけ。

ぼそぼそ話す英語はテキサスあたりのアクセントか。

「昨夜のSUSHIはファンタスティックだった」とか何とか

お向かいの息子らしき男性が興奮気味に話すのをぼんやり聞いている。

ディープなアメリカで生まれ育ったおじいちゃんにとっては

揚げたポテトが心の故郷、食べ慣れないSUSHIの翌朝は、ソウルポテト。

夏休み、子供が集まったら、何はなくても

[とりあえずフライドポテト」さえ用意しとけば、場はつなげる(笑)。

揚げたじゃがいもは、

もはや世界共通フードかもしれません。

恐るべし、ソウルポテト。

(写真は)

週末、今夏2度目の大通ビアガーデンに参戦。

やっぱり、フライドポテトを頼んでしまう。

いい大人にとっても、ソウルポテトだった。