異文化パスタ

夏の夕暮れ。

帰省という名の居候(笑)の息子から

「お魚パスタが食べたい」とのリクエストにピンと閃きました。

よし、今夜はシチリア島に飛ぶとしましょう。

「Pasta con le Sarde」。シチリア名物の「鰯のパスタ」。

新鮮な青魚でいつか作ってみようと思っていました。

地元の鰯にアラブ圏からやってきた松の実やレーズンなどを合わせるパスタは

シチリアならではの異文化感満載、

独特の香りを放つ野生のフェンネル(ウィキョウ)がアクセント。

身近な食材と人々の交流がもたらしたエキゾチックな食材の融合は

シチリア島の歴史を教えてくれる美味しい教材です。

まずは「イワシあるかな~、サバかアジでもいいよね~」」と

ご近所スーパーの鮮魚コーナーをのぞきますが・・・ない。

昨日あたりまで威勢良く並んでいたピチピチのアジやサバなどが見当たらない。

その代わりに立派なキンキやドでかいロブスター(!)、

この間、清水買い(笑)した真鯛は3匹も並んでいます。

「お盆だからね~」。

家族が揃うお盆休み、可愛い孫や子に食べたさせたいと、

財布のひもが緩みっぱなしの主婦心につけこんだ豪華ラインアップ。

鰯の出番は、なかったか。

いやいや、ここであきらめるわけにはいかない。

頭はすっかり「お魚パスタinシチリア」、他のメニューはもう浮かびません。

何の何の、地元の魚に異文化食材を合わせればよろしい。

鮮魚コーナーに並ぶ夏場でも活きのいいタラと太ったアサリをチョイス。

レーズンは家にあるから・・・あとは松の実、松の実・・・も、ない(笑)。

食感の似たカシューナッツで代用しようじゃないか。

生のフェンネルは当然ありませんが、生のディルがあった。

お魚と相性の良い香草、いいぞいいぞ、充分代役が務まるぞ。

さあ!クッキング。

たっぷりのオリーブオイルにニンニクの香りを移したら、

アンチョビを加え、タラとアサリを投入、そこに白ワイン、ミニトマト、

お魚の旨みが出るように軽く煮込み、刻んだカシューナッツとレーズンを加え、

茹であがったパスタと合わせて、最後にディルとライムを添えたら

「北海道産お魚パスタ~シチリアに恋して」の出来上がり。

新鮮な魚貝とエキゾチックな香草とナッツとレーズンのほのかな甘さが

お皿の上で美味しい異文化交流をしています。

世界地図を広げてみれば

北海道もシチリア島も四方を海に囲まれた独立した大きな島。

豊かな海の幸に恵まれ、大地は潤い、

ローマや東京とはまた違う歴史・文化を育んできた共通点があります。

北海道の食材をシチリアの美味しい知恵で料理してみたら、

勝手に一気にかの島への親近感がわいてきました。

「Pasta con le ホッケ」も「Pasta con le ソイ」もきっと美味しいぞ。

食べる歴史旅は楽しい。

異文化との出会いは未知なる美味しさとの遭遇。

マルコ・ポーロやバスコ・ダ・ガマにコロンブス、

歴史上の探検家たちはみんな食いしん坊だったに違いない。

お魚パスタを頬張りながら心はシチリア島にひとっ飛び。

実にリーズナブルなお盆旅行です。

(写真は)

シチリアに恋した北海道のお魚パスタ。

アラブの香りがちょっとエキゾチック。

アンチョビオイルでカリカリに焦がしたパン粉をトッピングすれば

さらにシチリア島に近づきますよ。

松の実、仕入れておこうっと。