ほいさー!の教え
ほいさー!ほいさー!ほいさー!
イクラ丼の一番の薬味は
ガテン系の威勢のいいお兄さんの掛け声でした。
絶大な人気を誇る札幌の居酒屋さん名物「つっこ飯」。
一抱えもある大きなボウルいっぱいに
オレンジ色に輝くイクラをを
白いごはんの上にお客がストップと言うまで、
「ほいさー!ほいさー!ほいさー!」とかけ続ける究極の丼です。
1店舗あたりのイクラの消費量は世界一、
ただいまギネス申請中という驚きの丼、
遠方からのお客人到来のおかげで
地元民の私も初体験できました。
秋の気配を感じる今頃のイクラは
皮も柔らかく、かまずにぷちっと口中でつぶれ、
北の豊かな海の味覚が広がります。
海苔やワサビも添えられますが、
お兄さんの「ほいさー!」がよく似合います。
このつっこ飯、
味やパフォーマンスもさることながら、
始まる前の口上が泣かせる。
「どうか食材を大切に、
どうぞ最後の一粒まで残さず召し上がって下さい」。
お客自身の食への価値観がさりげなく試される。
欲に浮かされ、胃袋以上のイクラを所望するのは野暮。
量さえ食らえばいいというそこらの大食いイベントとは
一線を画す姿勢が粋であります。
豊かな恵みを身の丈の分だけいただきましょう。
羅臼直送のホッケ焼きも
これまた名物ホッケのメンチカツも
ソイに目抜き、イカや帆立のお刺身も美味しゅうございました。
お腹いっぱい食べて飲んで、居酒屋を後にする私たち、
お見送りしてくれたいなせなお兄さんに
「ごちそうさま、とっても楽しかったです~」とご挨拶すると、
お兄さんが笑顔で応える。
「楽しかったって言われる居酒屋も珍しいっすよね!」
確かに。
エンタメ精神満載の名物居酒屋、
なかなか予約がとれないのも、むべなるかな。
お米一粒、イクラ一粒、無駄にしない北海道マインドは
何だか、結構素敵なんじゃないだろうか。
ほいさー!の掛け声は立派な食育かも。
美味しい食材の宝庫だからこそ、
一粒のありがたさを忘れずにいたいものです。
ほいさー!ほいさー!ほいさー!
出来秋にふさわしい掛け声でもある。
ふ~、お腹いっぱい。
ほいさー!は世界一美味しい掛声かもしれない。

