青い稲の島
札幌は雨の朝。
台風の影響はまだないようで、
進む季節の背中をそっと押すかのように、
秋の雨が静かにしとしと歩道を濡らしています。
そういえば、昨日、雪虫が飛んでいました。
そうだ、思い出した、その3,4日前にも飛んでいたっけ。
白い綿毛がふわふわ空中を舞うような雪虫のダンス。
毎年、冬の予感を告げる小さな小さな使者
そうか、そうか、今年もまもなく白い季節がやっぱりやってくるんですね。
燃える秋、今のうちにしっかり楽しんでおかなくちゃ。
さて、南国のちいさな秋をさがす沖縄旅リポートに戻りましょう。
今回はその日の気分、その日のお天気で行先を決める気ままな旅ですが、
この日帰りクルーズだけは予定を立てていました。
今年3月に国立公園に指定された慶良間諸島
そのなかのひとつ渡嘉敷島への1dayバカンスです。
旅の5日目、絶好の船旅日和の青空の下、
朝9時に那覇の泊港から高速艇「マリンライナーとかしき」が出航。
さあ、渡嘉敷島へGO!
青い海に真っ白な波を立てて、ぐんぐん船はスピードを上げていきます。
エアコンが効いた快適なキャビンもあるのですが、
余りにも良いお天気、もったいなくて、
ほとんどデッキで潮風に吹かれていました。
うっわぁー、360度がぐるりと丸い水平線。
地球は水の惑星なんだとあらためて実感します。
キ・レ・イ・・・。
この美しい風景をスマホで撮りたいけど、
びゅんびゅん波を蹴って進む高速艇のデッキの上、
足は踏ん張らなくちゃならないし、
片手は帽子を押さえてないと潮風に飛ばされちゃう。
どーしよーと思案している私に天の声。
「良かったら、写真撮りましょうか?」
近くにいた大学生らしき若者二人が声をかけてくれました。
「あ、ありがとうございます!お願いします!」。
スマホ世代の彼らはさすが手慣れた仕草、「えっと、こっちからもう一枚」と
角度を変えて2ポーズもささっと撮ってくれました。
彼らの青い揃いのTシャツには「那覇・・・」と、
大きな白い文字がプリントされています。
「ありがとうございます。皆さんは大学生?」と聞くと
「ええ、早稲田です、学部の合宿っていうか、フィールドワークっていうか、
えっと~、まあ、楽しんじゃってます~(笑)」
「ですよね~、沖縄の学生さんは
『那覇』ってTシャツは着ないですよね~(笑)」
「そーですよね~(笑笑)」
南の島に渡る船の上で、母校の後輩たちに遭遇、楽しいひとときでした。
こんな小さなサプライズがあるから旅は素敵だ。
「先輩は旅行ですか?いいっすね~」なんて現役大学生とお喋りしているうちに
わずか35分で高速艇は渡嘉敷島に到着。早い!
片道35分、朝の通勤時間程度で、那覇から慶良間諸島に渡れるのです。
南北に細長い渡嘉敷島が目の前に。
おおお~、海の色が、違う。
島の緑とくっきりとコントラストを描く鮮やかな海の青。
その周囲は貴婦人のドレスの裾のごときサンゴ礁に縁どられていて
船の上からでもその美しいグラデーションがわかります。
ああ・・・来て良かった。
電話がなかなかつながらなかった船の予約、あきらめなくて良かった(笑)。
だたいまの時刻は9時35分。
きょうは9月の金曜日なので、14時発の那覇行きの便で帰れます。
5時間半、たっぷり半日、渡嘉敷島を楽しみましょう。
交通手段は島のレンタカー、
ふふっ、手回し良く札幌から予約を入れておきました。
こうした日帰り客も多い渡嘉敷島、
3時間単位からレンタカーを借りることができるのです。
船を降りて、港のターミナルビルの2階にある食堂が事務所です。
「はい!これが島のマップと、車のキーです。
3時間もあれば、ぐるっと島をひと巡りできますから、
今からならお昼ご飯ゆっくり食べて、ちょうどいい感じですね~」。
てきぱき説明してくれた食堂兼レンタカー事務所の若い男性スタッフは、
なんと北海道は東川町出身とか。
雪を頂く大雪山の麓に生まれ、今はケラマブルーの渡嘉敷島かぁ。
彼も沖縄の何かに呼ばれて来ちゃったのかな~。
ほんと、沖縄で道産子に遭遇する確率はけっこう高いのが興味深い。
「まずは、北側の山の方から回るといいですよ~」
東川町出身の彼に聞いたドライブコースに沿って、
可愛い白い軽自動車でまずは島の北へ向かいます。
渡嘉敷島の人口は約750人、
海の美しさで有名ですが、島の約85%が森林という緑豊かな自然環境、
ダムもあって、小さな島ですが、豊富な水に恵まれた島でもあります。
港を出てほどない場所に、それを物語る風景が見えてきました。
沖縄の離島ではほとんど見かけない、懐かしいこの景色は・・・。
水田です。
渡嘉敷集落の西側には6ヘクタールほどの水田地帯が広がっていました。
南国の島に広がる水田の風景は、バリ島の棚田風景にも似ていて、
何とも美しく懐かしい景色に驚きました。
渡嘉敷島は山が高く、谷が深いので水が豊富なため、稲作が可能、
沖縄の離島には珍しく、島特産のお米が獲れるのです。
すぐお隣の座間味島は水不足が頻繁に起こっているとは大きな違い。
見えるほどの距離に位置していても
それぞれの島ごとに言葉も文化も違う沖縄の離島の独自性は
こうした自然や産業構造によるところも大きいのかもしれません。
たっぷりした南国の陽光に恵まれた水田は二期作とか。
ケラマブルーの島で獲れたお米ってどんな味がするんだろう。
クバやバナナやアダンの緑に囲まれた水田で育ったお米、
すご~く食べてみたいけど、
島産米は生産量が少なく、渡嘉敷島でしか消費されていないらしい。
沖縄好きの私にとっては、ある意味、幻のお米。
島の出来秋に泊りで訪れて、味わうしかないか。
またしても、いつか行きたい旅モデルが増えました(笑)。
さあて、可愛い「わ」ナンバーの白い軽、まずは島有数の景勝地、
島の北の山側のある西と東の展望台をめざします。
待っててね~!
ケラマブルー。
(写真は)
島の水田風景。
ケラマブルーの島で
青い稲を見られるとは思わなかった。
絶景のはざまで出会った愛しい景色。



