しゅりぬあじ
本日も晴天なり。
見事な秋晴れなり。
しかし多くの北海道民はテレビの前から離れられない・・・。
昨日のプロ野球クライマックスシリーズ、
ファイターズ下剋上の勢いに急ブレーキ、
(心配はしていたが・・・)大勝の翌日の貧打で気がつけば崖っぷち(涙)、
本日の第5戦、先発投手大谷に命運が託されます。
一人異次元の未来へと歩む彼に期待しましょう。
大谷く~ん、頼んだよ~!
首里は雨だった。
初秋の沖縄旅6日目は秋雨の那覇から城下町首里へと足をのばしました。
何度も訪れた首里城、雨に煙る姿もまた詩情あふれて何とも素敵。
世界遺産は晴れても雨でも画になりますなぁ。
さてさて朝から那覇の街なかをお散歩してきて、
いい感じでお腹がすいてきました。今日のランチは首里ごはん。
「GARB DOMINGO」の藤田さんおすすめのお店に直行しましょう。
その名は「富久屋」。
琉球王朝の都として栄華を誇った城下町首里。
首里城を守るように深い水をたたえる龍譚池沿いに走る龍譚通りから
旧県立博物館の横の細い道を入って行くと首里の昔ながらの住宅街。
車一台通るのがやっとの細い道。家々の庭木はよく手入れされていて
雨に濡れた南国の緑や花々の美しいこと。
王朝時代にはこの道をお役人たちが首里城へと通ったのしら・・・
なんて、ふとつかのまの夢想に耽ったり。
旅人は雨の城下町に弱い(笑)。
緑滴る小道の先にお店の駐車場が見えました。
しかし、肝心のお店はどこ?
くるっと振り向いた庭の緑に隠れるように小さな民家があります。
緑の木々や花々に主役を譲り、控えめにひっそりと「富久屋」の看板が。
おお、まさに隠れ家。
これは聞いてこないと絶対わからない。
フリの観光客が偶然入ってくる確率はほぼゼロの地元本位の食堂です。
「こんにちわ」。
小さな玄関で傘をたたんで靴を脱いでお店にあがります。
何だか、首里の親戚のおうちに来たみたい。
琉球松をふんだんに使った店内には地元のお客さんが何組か、
手前の大きなテーブルには
これから配達されるらしい仕出しのお料理が並んでいます。
「お昼は富久屋にしようか」「法事の料理、富久屋さんに頼まないとね」なんて
ず~っとこの城下町の人々に愛されてきたお店なんだな~とわかります。
ここは古都首里の味をひっそりと守る隠れた名店。
ガイドブックにも余り載っていません。
ともに首里に生まれ育った店主ご夫妻が
自分たちの舌で覚えている首里の味を出してくれるそうです。
その気持ちは首里のことばで書かれているお品書きにも表れています。
「むじぬ汁」は「むじ」=田芋(たーんむ)の茎の汁。
「の」は琉球の言葉では「ぬ」になります。
となると、ここの味は「しゅりぬあじ」というわけですね。
雨の音をBGMにのんびりとお品書きを眺め、「ゆしどうふ定食」を注文。
島豆腐が固まる前のふるふる柔らかな「ゆし豆腐」は
札幌に持って帰ることはできません、現地で食するに限る。
でてきた「ゆしどうふ定食」は絶品。
大きなマカイにたっぷりとはられた鰹だしのお汁に
やわらかなゆしどうふがゆらゆらと揺れています。
そ~っと蓮華ですくって口に入れる。
ふわぁ~っと花開く鰹節ととうふの甘い大豆の香り、
そして口の中いっぱいに繊細な旨みはじんわりと沁み渡ります。
・・・なんと・・・滋味な。
これが、首里の味、しゅりぬあじ、なのですね。
那覇と首里は今でこそ車で20分ほどの近距離ですが、
その文化的背景はとても対照的。
港を抱え国際貿易都市と発展した那覇と
王朝の都として栄華を極めた首里は
ちょうど大阪と京都の関係によく似ています。
市場が台所代わりだった那覇人(ナーファンチュ)は
豊富な食材のなかから安くて滋養のある料理を編み出し、
首里城をかかえる城下町では由緒正しい宮廷料理が発達、
那覇が大阪なら、首里は京都にたとえるとわかりやすいかもしれません。
この「富久屋」の「ゆしどうふ」はまさに、はんなりした都の味。
南国の秋雨の音を聞きながら味わっていると、
春まだ浅い南禅寺の境内でいただいた湯豆腐の味とどこか重なる。
やんごとなき人々に饗するために発達した都のお料理は
琉球も京都も共通するものがあるのでしょう。
丁寧にだしをひき、素材を吟味し、
手間をかけるけど手をかけたことを感じさせない
洗練された味に感動しました。
「ゆしどうふ定食」についてきた小鉢も美味、ご飯はお赤飯でしたが、
もち米ではなくうるち米を使うのが首里流とか。
お品書きには「みぬだる(豚肉の黒胡麻蒸し」や
たーんむをつぶして豚肉やかまぼこを加えて練りあげた「どぅるわかしー」を
丸めて揚げ物にした「どぅるわかしーぬあぎー」など
伝統的な宮廷料理の品々が並んでいます。
泡盛も用意されているので、いつか夜にのんびり訪れてみたいものです。
城下町首里。
龍譚の池から昔ながらの住宅街をちょっと迷子になりながら
庭に隠れた古民家を探してみて下さい。
はんなり滋味な「しゅりぬあじ」に出会えます。
さあ、お腹も心もあったまった。
さあ、お次は・・・城下町とくれば・・・
王様も大好きだった「甘いもん」探索であります。
野宮的スイーツセンサーにスイッチオン!
お?何なら芳しい香りがするぞ・・・。
食後のしゅりぬあまいもん、は明日のお楽しみに♪
(写真は)
首里の味をひっそり伝える「富久屋」の前にて。
ね?緑が美し過ぎてお店に在りかがわからない。
まさに隠れ家。
迷子を楽しみながら探してみて下さい。
味は正統、お値段はリーズナブル。伝統は続く。



