ごめんな鯛

う~~~っさぶっ!
頬をさす寒風の中、家路を急ぐ冬の夕暮れ。
耐えがたい衝動に襲われた。
「鯛焼き、買っていこう」。
ダイエットなどという単語は
小雪と一緒に飛んでった瞬間だった。

熱い鉄板の上でじゅわっと焼かれる映像が頭から離れない。
迷わずご近所スーパーのお店に直行。
「あの、薄皮鯛焼きを2個、下さい!」。
薄い経木に包まれた鯛焼きふたつの温もりよ・・・。
どんなカイロよりも
甘党の空きっ腹と心を癒してくれる。

こんな寒い夕暮れは
お饅頭でもようかんでもお団子でもない。
ほっかほかの鯛焼きに限るのであります。
お茶の用意をして・・・
そうそう、かぶりつく前にあわてて写真撮影。
おっと~、頭が反対よね~。
鯛の頭は左に、しっぽは右、これでよし。
カシャッ!

鯛はおめでたい魚としてご祝儀には欠かせない縁起物。
お菓子の世界でもお祝い用として
鯛のかたどった落雁や砂糖菓子が昔から作られています。
高級魚の生の鯛はなかなか手が届きませんが、
鯛焼きは気軽に買える庶民のおやつとして
伝統のロングセラーお菓子であります。

こうした鯛の意匠のお菓子をお皿に載せるとき、
大抵は頭が左にきますが、例外もあります。
たまぁに見かける「跳ね鯛」型のもの。
大漁半纏などにみられる威勢のいい意匠で
この「跳ね鯛」の場合は頭が右にくるのです。
左にしてしまうと跳ねあがった体が下向きになり、
腰をかがめて「ごめんなさい」をしているようで、
ちょっと残念な「ごめんな鯛」(笑)になってしまいます。

あとひと月たらずでお正月。
おめでたい意匠の和菓子でお茶を楽しむ場面も増えますが、
もし「跳ね鯛」みつけたら、頭は右に。
威勢よく跳ねさせてあげましょう。
さあて、写真撮影も終わった。
薄皮鯛焼き、頭からがぶり♪
いっただきまぁ~す。

(写真は)
ノーマル意匠の鯛ですから
頭は左に、ね。
日本が誇るハッピースイーツ。
もっともっと世界に広めたいね~。