極上の雑踏

高い天井とそそり立つそうな書棚に埋め尽くされた壁。

微かに聞える駅のアナウンスが旅情をそそる。

極上の雑踏で飲む一杯のカフェ・クレーム、

ここは地下鉄に乗って来れるパリだ。

昨日は日本で最も美しい村のひとつ、美瑛町で講演のお仕事。

朝早い特急電車に乗るためにJR札幌駅へ。

発車までにまだ時間があったので、

ちょっと朝カフェに立ち寄ったのが「PAUL」。

フランスの老舗パン屋さんが北海道初上陸と

今年4月のオープン時には行列ができていましたが、

今は落ち着き、すっかり街に馴染んでいます。

駅直結の立地とあって、嬉しいことに朝8時から開いていて、

しかも11時までモーニングセットがオーダーできるみたい。

しまった~。いつも通り、朝しっかり食べてきちゃったもんね~。

クロワッサンとハム3種のセットか厚切りトーストか好きなミニパンセット。

う~ん、焼きたてクロワッサンに惹かれるが、

お腹はいっぱい、今回はカフェ・クレームだけで我慢しておこう。

1889年、北フランスのリールで創業したPAULは

今や世界29カ国の都市にお店を展開、

フランスのパン文化、食文化を発信する本格派ブーランジェリー。

もちろん札幌店にもお洒落なカフェが併設されています。

高い天井は本物、壁の書棚はだまし絵風の壁画だけど雰囲気は充分。

奥の赤いソファ席がいかにもパリっぽい。

よし、ここにしようっと。

電車の時間を気にしながら、コートを着たままカフェを一杯。

抑え目に流れるBGMからはかすれた声のフランス語が聞こえてくる。

お~っと、パリ北駅に、勝手にワープしちゃいそう。

晩秋の早朝、パリ北駅から真っ赤な特急タリスに乗って、

ベルギーのブリュッセルまで日帰り旅をしたあの日が蘇る。

ちょっと裏寂れた北駅のカフェで電車を待ちながら飲んだ一杯。

あの日のBGMはリアルなフランス語が奏でていた。

それは極上の雑踏だった。

「ね、やっぱ、美味しいね、ここのクロワッサン」

「うん、さっくさく」

お隣の女子二人の日本語の会話に、ふと我に帰る(笑)。

そうだった。これから、お仕事でした。

パリ北駅妄想旅に耽っている場合ではなかった。

読み始めたばかりの桐野夏生の新刊本をバッグにしまい、

赤いソファから腰をあげる。

家から地下鉄で来れちゃうプチ・パリ空間。

ここで朝カフェして、電車に乗って日本で最も美しい村に向かう。

白い雪に覆われた風景は美しいヨーロッパの農村風景とそっくり。

そう、タリスの車中から眺めた景色に負けない美しさ。

私たち道産子は素敵な大地に暮らしていることに感謝。

北海道そのものこそ、極上空間、なんだよね。

(写真は)

ここはパリ北駅のとあるカフェ・・・

とも思えそうな佇まい、でしょ?

う~ん、やっぱり、ここで朝クロワッサン食べたい!