問題のないクロワッサン
住宅街の細い路地の奥に佇む小さなパン屋さん「円麦」。
京都の町家風の建物もお行儀よく並んでいるパンも
実に好ましく、毎日通いたくなりました。
ご近所にお気に入りのパン屋さんが増えるなんて、とっても幸せ、
昨日に続いて、お裾わけ代わりに今日はクロワッサンレポート。
知人への手土産とともに、我が家用に買ってみたのが
姿形も美しいクロワッサン。
初めてのパン屋さんはまずクロワッサンを食べてみるに限ります。
シンプルだからこそ誤魔化しのきかない三日月パンですものね。
「円麦」のクロワッサンはややこぶりながら、中央部分はよく膨らんでいて
こね加減も発酵も丁寧に行われていることがよくわかります。
焼き色も完璧。表面はぴかぴかと黄金色の光沢を帯びています。
ヴィジュアルをよ~く観賞したら、
さあ、軽く温めたクロワッサンをいざ、実食!
まずはワイルドに三日月の端っこからかぷりとかじりつく。
サクッとザクッのちょうど中間の心地よい音に続いて、ふわっ&ぶわぁ~、
バターと小麦の魅惑的な香りが鼻腔をかけぬけていく。
お・・・美味しい、そして、何と温かい味わいでしょうか。
一口食べたら、目尻が5mmは下がり、眉間の皴などいっぺんに消滅、
食べた人を優しい気持ちにしてくれる味だ。
「食べ物を褒める言葉には二つあると思うの。
それは、美味しいと、もうひとつは、温かい」。
真木よう子主演のドラマ「問題のあるレストラン」の中で、
レストラン評論家女史がそんな印象的な台詞を語っていましたが、
まさに、それ、このクロワッサンは「温かい」。
真ん中からさっくりと二つに割ってみると
何層にも何層にも折りたたまれた芸術的な生地の地層があらわれました。
科学的な白さとは違う、優しい生成り色、自然な大地の色をしていて、
原料に使われた北海道産の有機小麦の元気さを物語ります。
かみしめるたびに馥郁とした香りに包まれて
あったかぁ~い幸せな気持ちになってくる。
そうだ。お店でパンを包んでもらっている間も、
こんな幸せな気持ちになったっけ。
木のパン棚のガラスの向こうは窯のある工房になっていて、
お行儀のよいパン越しに作業中の会話が
心地よいBGMのように洩れ聞こえてくるのでした。
接客してくれたナチュラル美人さんも中のスタッフも30代くらいでしょうか、
気の合った何人かの男女の、それは和やかな話し声。
ああ、ここは「問題のあるパン屋」ではないことがよくわかる。
パンを通してお客さんに幸せを提供したいと頑張る、
そう、プラスの「気」が満ちている。
昔、遅いランチをとっていたあるレストランでの出来事。
お客さんも少なくなってきた頃、
オープンキッチンの向こうからキツイ怒鳴り声が聞こえてきました。
「だから、いつも言ってるだろうがぁ!~~!~~!(怒)!」
どうやらオーナーシェフが若い見習い君を叱責しているようです。
目の前の料理が一気にまずくなったのは言うまでもありません。
その後、二度とその店へ行くことはありませんでした。
マイナスの「気」が流れる「問題のあるレストラン」へは足が遠のきます。
パンを作る人も売る人も笑顔で幸せそうなお店は
焼き上がったパンもよい人相をしていて(笑)、美味しくて、温かい。
路地の奥の小さなパン屋さんのややこぶりなクロワッサン。
その細かな層を膨らませているのはお店に流れる幸せな空気。
パンって、「気」を食べるものでもあったのね~。
あっというまに一個完食しちゃった。
ごちそうさまでした。
(写真は)
いい表情しているでしょ?
性格の良さそうな(笑)
「円麦」のクロワッサン、
おひとつ210円の幸せです。

