春はおたぽっぽ

旅立ちの春。

昨日は仕事でお世話になった方の送別会でした。

場所は息子さんがオーナーシェフをされている小さなダイニング。

壁一面にワインやシャンパンのラベルが貼られた店内は

ヨーロッパの下町にある老舗バルのような居心地の良い佇まいで

ついつい長居をしてしまいました。

まずはシャンパンで新たな門出を祝って乾杯、

すっと絶妙のタイミングで出された前菜の一皿目には

春の北海道の海の幸が彩りよく並んでいました。

ぴかぴかに光る小樽の鰊にぷりっぷりのオホーツクの帆立は

香り高いおろしたての山葵と特製ソース、お醤油でいただきます。

新鮮な鰊をお刺身で食べられる幸せは北海道の春の特権。

う~ん、美味美味。

お刺身前菜に舌鼓を打っているテーブルに

揚げたてのお魚のフライが運ばれてきました。

ん?ワカサギ?シシャモ?いやいや、それにしてはサイズが大きい。

「このお魚、何ですか?」カウンターのオーナーシェフ氏に一同質問。

「はい、根室のチカです」。

「え~っ!チカ?こんなに大きく立派になるのぉ~?」と驚きながら、

一斉に熱々のうちに口に運びます。

片手を広げたほどのビッグサイズのチカのフライを

頭から豪快にパクリッ、はふはふ・・・う・・・旨ぁ~い!

おっ?少しふっくらしたお腹には卵がいっぱい詰まっています。

春はちょうどチカの産卵期にあたり、

子持ちチカの丸ごとフライはこの時期ならではの季節限定グルメ。

キリリと冷えたシャブリによく合います。

チカはワカサギと同じサケ目キュウリウオ科ワカサギ属の魚で

姿形もワカサギとよく似ていますが、別種の魚。

尻ビレと背ビレの位置が微妙に違うのと、

ワカサギは海から汽水域に生息し、淡水でも生きていけますが、

チカは淡水域には住まず、純海産種という違いがあります。

また大型のものは15~20cmほどの大きさになるそうで、

昨夜のチカも根室の海でのびのびと育ったのでありましょう。

チカ、という名前も女の子みたいで可愛い響きがありますが、

お魚図鑑を調べていたら、もっとキュートな別名がありました。

「ひめあじ」「つか」などの呼び名のほかに

北海道方言で「おたぽっぽ」と呼ぶと書かれています。

へ~、知らなかったぁ~。

道産子には結構身近な魚だったチカに

こんなカワイイ別名があったとは。

おたぽっぽ。

アイヌ語が語源かとも思ったのですが、

チカを指すアイヌ語は別にあって、

「トキカル」「トツピカラ」「スミアチェプ」などと呼ぶそうです。

誰が名付けたか、「おたぽっぽ」。

鳩ぽっぽ、汽車ぽっぽにおたぽっぽ、フライで旨いのは、おたぽっぽ(笑)。

冬が明けた北の海。

豊饒の春を迎えています。

(写真)

おたぽっぽのフライは

揚げたてを頬張るのに逸って

写真撮るの忘れちゃった~(笑)。

山口県産「ふぐのから揚げ」が代打。

これまたお誕生日の宴の一品から。

春は美味しいものがいっぱいだぁ。