紅色マジック

「二日酔いメーク」?

朝刊で見かけた見出しに驚いた。

なんとまあ、電車でメークどころか、

いまどき女子たち、飲み過ぎを隠すメークまで流行っているの?

な~んて、これは早とちり、

素顔っぽくてちょっと色っぽい、最近流行のメークなのでありました。

目のまわりがぽっと赤く色づいた化粧法、

人気のモデルや女優さんたちもこぞって取り入れているそうで、

血色がよく見えることから、

「二日酔いメーク」「湯上りメーク」「血色メーク」などと呼ばれているらしい。

記事によると美容専門学校の女子学生の「ほぼ10割」が

目の周りにチーク(頬紅)を入れたメークをしているとか。

知らなかったぁ~。いまどきの若い女の子の間では、

わざわざ「火照った」ように見えるお顔が大人気なのね~。

東京のメイクアーティストが火付け役ということですが、

ポイントはチークの入れる場所。

通常は笑った時に頬が高くなるところに入れるのがセオリーですが、

目のすぐ下にふわりと入れるのがコツ。

さらに目の下から目尻側まで広げて入れる女性も多いらしい。

紙面には「二日酔いメーク」の体験写真も載ってましたが、

ほぉ~、なかなか可愛らしいではありませんか。

何というか、健康的な色っぽさもあって、好ましい感じ。

ホントの「二日酔い」だったら、もっとげっそり、むしろ土気色?

こんなカワイイ紅色してるわけない(笑)。

「二日酔いメーク」というネーミングはちょっとカワイソー。

お洒落でフェロモンが醸し出されるからと名付けられた、

別名「おフェロメーク」あたりが実像を一番表しているかもね。

そもそも紅色は昔から女性の顔には欠かせない色。

現在は実に多彩な色をしたメーク用品がありますが、

江戸時代の化粧に用いられた色は

紅の赤、白粉の白、眉墨やお歯黒の黒の三色のみ。

このうちモノトーンの白黒と違って、唯一の有彩色だった「紅」は

女性の化粧にとっては究極のキーカラー、

あらゆるテクニックを駆使して女性の顔に彩りを添える、

大切な「利かせ」の色でありました。

唇はもちろん、白粉と混ぜて頬紅として使ったり、

「爪紅(つまべに)」といって、爪先を紅で赤く染めたり、

そして「目弾き(めはじき)」という必殺テクにも紅が使われました。

目の縁に紅をす~っとひく化粧法。

歌舞伎役者の舞台化粧として発生したものですが、

町方の女中が真似たのをきっかけに

江戸市中の女性たちに広く行われるようになったそうです。

京都の舞妓さんや芸妓さんのメークに見られますよね。

最新トレンドの「おフェロメーク」、

そのルーツは江戸時代の「目弾き」とも言えるかも。

白粉と眉墨のモノトーンメークの目元に

ふわりとぼかされた紅色の艶やかさ、色っぽさといったら、

同じ女性でもどきっとするほどの魅力があります。

しかも当時の紅は大変な貴重品、ひとさし分が三十文ほど、

今の貨幣価値で換算すると600円~700円にもなります。

紅ひとさしがワンコイン弁当以上に高価なわけですから、

毎回が勝負メーク、気合いが入っていたでしょうね~。

そう、今も昔も、美を追求する貪欲なまでの女心は変わらない。

そもそも江戸時代の「目弾き」、目元に紅をさす化粧法も

小さい目を大きく見せるためのテクニックだったとも言われます。

今でいうところの「目ヂカラ」メークですね。

いつの時代も、紅は、女の命、ですね。うふふ。

(写真は)

ちょっと紅花に似ているお花。

初夏の花壇で気持ちよさげに揺れていました。

もともと黄色の紅花から赤を取り出すなんて、

先人の知恵ってほんと、凄い。