牧場のボール

まんまるい形がなんともキュート。

その名は「プロヴァ」。

そのままでも、焼いても、すりおろしても絶品、

北海道の美しい牧場で生まれたボール型のチーズです。

「美味しいチーズ、もらったよ」。

夫がどこからか濃いミルク色をしたチーズをいただいてきました。

野球のボールみたいにまんまるで紐で結えられた可愛い形。

小さなタグには「北海道美深町仁宇布(にうぷ)」、

そして「チーズ工房 羊飼い」と書かれています。

気になるチーズの種類は・・・「プロヴァチーズ」。

ふむふむ、美味しい物語の気配がしてきましたぞ。

村上春樹の「羊をめぐる冒険」の舞台にもなった仁宇布。

そこにある小さなチーズ工房で作られたってことねぇ~。

美深町の山あいにある仁宇布、

「ニウプ」とはアイヌ語で森林を意味します。

豊かな自然に囲まれた牧場生まれのチーズかぁ。

「チーズ工房 羊飼い」ってことは、これ羊のミルクのチーズなの?

タグの裏の原材料を見ると、「生乳、食塩」以上(笑)。

潔く言い切るシンプルな材料がすこぶる気持ちいいが、

つまりは牛のチーズなのね。

のどかな緑の牧場で草を食む羊たちの写真に感動した

埼玉の男性が脱サラしてはじめたのがこの「チーズ工房 羊飼い」。

もちろん羊を飼っている牧場ですが、

羊のミルクは搾乳量も少なく、繁殖時期も決まっているため、

年間通して牛乳で作るチーズも販売されていて、

まんまるチーズはそのひとつの「プロヴァ」でありました。

「プロヴァ」とはナポリの言葉で「ボール」という意味。

通常ひょうたん型のカチョカバロチーズをあえて球形にして

紐でつるして熟成させたのがこの「プロヴァチーズ」。

しぼりたての新鮮な牛乳で作られたフレッシュなチーズで

出来上がって一番美味しい状態、生のままで食べてほしいと、

あえて真空パックをせずに、そのままの姿が特徴。

いただいた時も白い紙袋にくるりと包まれただけの状態でした。

家庭での保存も紙にくるんで冷蔵庫で、とのこと。

真空パックをしないと、熟成が進んで目方が減ったり、

条件によってはカビが発生したりしますが、

生きているチーズの本当の美味しさを味わってほしいと、

あえてビジネス上のリスクも覚悟の販売方式を選択。

生で食べても、焼いて食べても、美味しいプロヴァ。

固くなったら粉チーズにおろしても美味しいし、

カビが生えたらそこはこそげとって食べればいいんだよね。

チーズが硬くなるということは、

旨みが凝縮され倍増している証でもあるのです。

さっそく紐をはずして、黄金色のプロヴァにナイフを入れてみました。

す~っ。

表面はワックスのようにカチンコチンに見えたのに、

意外にスムースにナイフの通ります。

5ミリほどの硬い層の下には美しいクリーム色のチーズが。

まずは焼かずに生のまま、そのまま小さくカットしていただきます。

う~ん、ほんのり草原の香りを感じるミルクの風味が

ふわりと鼻へ抜けていきます。

じゃっかん強めの塩味と軽い歯ごたえが赤ワインに良く合います。

そして表面の硬い層は脂肪分が凝縮しているのか、

ちょっとバターのような濃厚さが感じられます。

しぼりたての牛乳と塩と作り手の真心と仁宇布の自然が詰まった

プロヴァは、まんまるくて美味しい小さな地球。

その昔、チーズが生まれた頃には

便利な真空パックもラップも保存容器もなかったわけで、

生きているチーズの熟成に合わせて、

硬くなったら焼いて食べ、カビが生えたらこそげとり、

いよいよカチンカチンになったらおろして食べと、

チーズの時間にゆっくり寄りそって味わってきたのですもんね~。

そんなチーズとのスローなおつきあいを呼び覚ましてくれた

まんまるボールのプロヴァチーズ。

半分残ったチーズは紙にくるんで冷蔵庫で保存。

美味しすぎて硬くなるまでは残らないな(笑)。

チーズとのスローなおつきあい、

食いしん坊にはちょっと難しい。

(写真は)

ひょうたん型のくびれがない

まんまるボールのプロヴァチーズ。

美味しい牧場のボールであります。

そうそう、季節限定の羊のチーズは

2015年7月から販売開始予定とか。

羊のチーズをめぐる冒険?

こちらも気になります。