沖縄リポートその④~サードウェーヴ・やちむん

第三の波が来てるのはコーヒーだけじゃない。

沖縄の焼き物「やちむん」にも新しい波が。

それは次世代が作りだす新鮮な沖縄のカタチ。

夏真っ盛りの沖縄旅2日目、

読谷村でサードウェーヴ・やちむんに出会いました。

もはやライフワークとなった沖縄「やちむん」巡礼の旅。

まっさきに聖地読谷村「やちむんの里」を訪ねました。

まずは「北窯」で與那原正守さん作の三日月&朧月の大皿、

大嶺實清さんのギャラリーではご本人作の唐草文様の大皿に

息子さん作の鮮やかなペルシャ秞の深皿を、

そして島袋常秀さんのギャラリーで情熱的な赤絵の中皿・小皿などなど

熱病に浮かされたように(笑)買い求めました。

すべて宅配便で自宅に着くように手配。

やちむんの器たちは本人よりも先に札幌に到着しているはず。

待っててね~。

そして、聖地読谷村ではもう一か所、

今回どうしても立ち寄りたい窯元がありました。

その名は「工房 十鶴(じゅっかく)」。

東京のセレクトショップでは入荷する度、即売り切れという大人気、

超レア物となっている「コーヒー豆シリーズの器」を作っているところです。

BS放送の「沖縄やちむん」特集の番組でも紹介されていたのですが、

焼き物好きはもちろん、雑貨やコーヒー好きなら

一目でノックアウトされる器にもう心をわしづかみされちゃいました。

沖縄伝統の「点打ち」という技法でつけられた水玉模様の真ん中に

す~っと例の「かき落とし」で一本筋を入れると

点打ちの水玉が瞬く間に「コーヒー豆」に変身。

作陶作業を見ていた友人が何気なくつぶやいた

「なんかこの模様、豆に見えるよね」という言葉が

超人気シリーズの器が生まれるきっかけになったそうです。

見たい、会いたい、絶対欲しい~!

「やちむんの里」がある緑の丘を下り、いざ「工房 十鶴」へ。

同じ読谷村でも少し離れた場所にあるらしく、

事前に電話を入れてみると、優しくて感じのいい女性が

親切に道を教えてくれました。多分奥さまでしょうか。

「あの・・・コーヒー豆の器は今ありますか?」とドキドキしながら尋ねると

「あ、はい。大丈夫ですよ、いくつかご覧頂けると思いますよ~」とのこと。

やったぁ~、ハンドルを握る手にますます力がみなぎってくる。

ナビも機嫌良くスムースに読谷村の住宅街の一角にある窯元に到着。

さあ、サードウェーヴ・やちむんに会いに行きましょう。

「工房 十鶴」は

1976年大阪生まれの柄溝康助さんと妻の聖子さんが営む新しい窯元。

全国各地を旅していた20代の頃、康助さんは

壺屋焼の名工小橋川源慶さんの作品に感銘を受け、陶芸の道に。

北窯の與那原正守さんに師事、同じ北窯の宮城正享工房出身の聖子さんと結婚、

2009年読谷村に「工房 十鶴」を開窯しました。

沖縄の伝統技術を受け継ぎながらも大胆で大らかな柄が特徴。

伝統的な意匠以外にも動物やコーヒー豆など斬新なモチーフにも取り組み、

野宮的には「サードウェーヴ・やちむん」の旗手と呼びたいと思います。

「あ、お電話下さった方ですね~、ようこそ~、暑いですね~今日も」。

笑顔が素敵な可愛らしい聖子さんが出迎えてくれました。

小さなギャラリーの棚に・・・あー!あった、あったー!

お目当ての「コーヒー豆」シリーズ。

東京では入荷するそばから売れていく超レア物やちむん、

さすが窯元、中皿、小皿、コーヒーカップにポットなどなど種類も豊富。

「えっと~、これと、あれと・・・きゃあ~どうしよう」と興奮する視線の先、

ギャラリーの奥の工房でろくろを回す男性の姿が。

「ご主人ですか?」「はい、作業、ご覧になりますか?」「はい!もちろん!」。

「いや~、いらっしゃい。器重ねるために削っているところなんですよ~」。

さすが大阪人、トークがなめらか、笑顔も最高。

手を動かしながら、時に手を止めて、色々作陶の説明をして下さいました。

沖縄各地から取り寄せた陶土のこと、

天日干し用に自分たちで工房に全天候型(笑)に屋根をかけたこと、

その天日干し中の器を食べちゃう「蜂」が悩みの種だということ。

「へ~、やちむん食べる蜂ですかぁ~?」

「どうやら、その土で青虫を固めて孵化した幼虫の餌にするらしいんです」

「ほえ~っ、す、すごい、蜂の親も必死ですね~」

「ですね~、僕たちも蜂には困るけど、親心はわかりますよね~」。

お二人には保育園に通う可愛い一人娘さんがいて、

だから保育園から早く帰ってくる土曜日だけが

工房&ギャラリーは13時でクローズなんだそうです。

緑と海に囲まれた緑豊かな読谷村で

夫婦それぞれ得意の技法をお互い認め合いながら、

伝統工芸に新しい風を送りこむお二人のライフスタイルこそ、

沖縄やちむんの第三の波、なのかもしれません。

こういう暮らし、こういう子育て、こういう生き方、すっごく素敵。

やちむんの聖地に息づく次世代の爽やかな風。

伝統はこうした新しい波に洗われて更に輝いていくんだ。

さあ、焼き物三昧ですっかりお腹が空いた。

今日のランチは伝説のドライブインへ。

康助さんご夫婦もお気に入りのうちなんちゅう御用達のレトロスポットへ。

さあ、ナビちゃん、頼んだよ~。

(写真は)

作陶中の柄溝康助さん。

初めて会ったのに昔からの知り合いのような気持ちにさせてくれる。

ご夫婦揃って素敵なお人柄。

器は人。人は器。

コーヒー豆シリーズを眺めていると

自然と頬が緩んでくる。