おいしい暴れん坊

真夏の宮古島の贈り物。
沖縄産マンゴーの中でも別格の美味しさを誇るブランドマンゴー。
マンゴー界のエルメス、ヴィトンともいうべき、
魅惑のフルーツを求めて
迷い込んだサトウキビ畑の真ん中から
はるばるやってきました、「クマザ農園」。

夏の沖縄旅の7日目リポート、
那覇からJTAで飛んできた1泊2日の「旅中旅」。
宮古島へのショートトリップも終盤戦、
今が旬の宮古島マンゴーといよいよ対面です。
優しく道を教えてくれた「クマザ農園」のお母さんに
「あのぉ、マンゴーを作っているところ、
良かったら、見せて頂けますか?」とお願いしたところ、
「あらまぁ、ホントに。
嬉しいけど、ウチは自然のまんまだから、
暑いし、虫もいるし、大変かもしれませんよぉ」と
ちゃらい旅人を気づかってくれます。

「いえいえ、是非是非!暑かろうと虫がいようと、
宮古島のマンゴーが育っているところ、
見せて頂きたいんです」。
「ホントに。まぁ、嬉しい。じゃあ、早速行きましょうね」。
お母さんは農作業用の麦わら帽子をかぶって臨戦態勢に。
「ちょっとね、足元も悪いけど、気をつけてね」。
可愛いプレハブ小屋を出て、裏手に並ぶハウスに向かう。

「はい、ウチの可愛いマンゴーたちです。
でも草ぼうぼうでしょ、自然のまんまなの」。
クマザ農園はなるべく農薬や化学肥料に頼らず、
マンゴーの木の本来の力を信じて栽培するのがモットー。
大きなハウスに中にはすくすくと育ったマンゴーが
あちらこちらに縦横無尽に枝を伸ばしています。
地面は南国の下草に覆われ、ほぼプチジャングル。

マンゴーって、こんなに力強く繁茂する木なんだ。
驚きました。野生の底力を感じるマンゴーの木。
「すごいでしょ。枝がもうあっちこっちに伸びちゃって。
マンゴーは暴れん坊なんですよ」。
「暴れん坊?」
「そう、実に栄養をつけるために剪定するでしょ。
ほら、この木。去年剪定したんだけど、
そうすると、さんざん暴れて枝や葉っぱを広げて、
今年は、ね?実をつけてないでしょ」。

本当だ。ハウスのマンゴージャングル、
ほとんどの木にはたわわに実がなっていますが、
何本かだけ、まったく実をつけていない木があります。
「ちっ!勝手においらの枝切りやがって、こんちくしょうめ。
あったま来たもんね、今年は実をつけないもんね~」。
そんなワイルド派マンゴーの声が聞えるような気がする。
自然のまんま、育てられた骨太マンゴー。
これは味が楽しみだ。

しかも「クマザ農園」では
日照時間の長い恵まれた環境を最後まで無駄にせず、
太陽の光をまんべんなく浴びたマンゴーが
「ポトリ」と落ちるまでじっくり待ち、
たくさんの愛情をかけて育てているのです。
「ほら、これは明日くらいにポトリかな」と
お母さんがそっと触れたマンゴーが、その瞬間、
まさに「ポトリ」とお母さんの手のひらに。

「あらら、今日がポトリだったのね~、
はい、コレ、プレゼント、内緒ね」と
ウィンクしながら、赤く色づいた実をを手渡してくれた。
あ・・・あったかい。
宮古島の太陽の温もりを宿したまんまのマンゴー。
「ねえ、食べて、今、食べて」。
真っ赤なマンゴーが誘惑する。
これこそ、真の「完熟マンゴー」だ。

マンゴーと子育てはよく似ている。
お尻を叩いて無理やり成長させようとしても限界がある。
じっくり育て、手間暇かけ、時に剪定という叱咤激励もし、
焦らず見守っていれば、
いつか自然と成熟し、みずから「ポトリ」と完熟する。
完熟の時は、きっと自分で決めるんだ。
心配ばかりの己の子育てをちょっと冷静に見つめ直したりした。
マンゴー農園で、子育てを再考する。
旅は学びの機会に満ちている。

果物の力を信じ、大らかに育てられた
「クマザ農園」のエルメス・マンゴー。
札幌に帰る日に合わせて最も食べ頃になるマンゴーを
お母さんに選んでもらって宅配便で自宅に送った。
お留守番の夫とともにデザートとして頂こう。

あせりなさんな。
暴れん坊ほど甘い実になる。
子育てに煮詰まる若いママたちよ、
宮古島のマンゴー園をいつか訪れてみて下さい。
暴れん坊のマンゴーの木が
お母さんの頑張りをちゃんと認めてくれますよ。

マンゴー坊や。
すくすくと育て。

(写真は)
天高くマンゴー実る真夏かな。
まるでジャングルのように
好き勝手に枝を伸ばした木に
それは見事な真っ赤な実がたわわに成っていた。
宮古島のマンゴー農園で
「過保護」と「手塩」の違いを教わった。
旅はこれだから面白い。