さっぽろジヴェルニー
まるでジヴェルニーのお庭みたい・・・。
秋晴れのお散歩途中に見つけた美しい池。
旧北海道庁舎、通称赤れんが庁舎の前庭で「モネのお庭」を発見。
緑に囲まれた池にはピンク色の睡蓮が奇跡のように咲いていた。
知らなかった。気づいていなかった。
あんなに数えきれないほどここを通っていたのに。
赤れんが庁舎前の前庭は手入れされた花壇や
緑の木々に囲まれたいくつもの池がとても美しく、
四季を通じて人々の憩いの場となっています。
このすぐ近くに以前勤めていた放送局があって、
赤れんが庁舎の西側にある現在の道庁まで取材に通うため、
よ~くこの前庭を通っていました。
数えきれないほどこの庭を通り過ぎていたのに、
「モネの庭」の存在には気づいていなかった。
取材ノートが入った重いバッグを肩に、次の段取りを考えつつ、
ハイヒールに根をあげる足をなだめながら前のめりに歩いていたあの頃。
四季折々に美しい風景が広がるこの前庭を何度も何度も往復していながら、
私は守衛さんがいるアスファルトの通路しか歩いていなかった。
いつも何かを考えながら5m先の灰色の地面しか見ていなかったのだ。
「局に帰って、あれしてこれして・・・」、仕事のことしか頭になかったのか。
このアスファルトの通路に並行して
緑に囲まれた小さな散歩道があることすら気づいていなかった。
「こんなところに小道があったんだ」。
秋晴れに恵まれたおととい。
道庁前庭を通ってランチに行こうとした時に初めて発見。
その小道に沿って緑に縁どられた美しい池がひっそりと佇んでいました。
水面を覆い尽くすほどの艶やかな緑の葉の間に
それは鮮やかなピンクの花が開いていました。
「おおお~、ジヴェルニーだねぇ~」。
傍らの夫が呟いた一言に同感。
歩き慣れた道庁前庭にこんな美しい睡蓮の池があったとは。
あの頃の自分は本当に気づいていなかったのか、
目には入っていたけれど、今ほど感動しなかったのか。
四季折々の風景や自然の風物に心を寄せる余裕がなかったのか。
「ほんとだねぇ~、この小道も、睡蓮の池も、全然気づいてなかったよ」と、
私が若き日々の回想に浸っていると、
「へ?睡蓮?これ蓮じゃないの?」と夫が軽くボケる(笑)。
「いやいや、睡蓮でしょー」
「だよね~、ジヴェルニー=モネ=睡蓮だよね~」。
「いや、でもさ、睡蓮と蓮って、どう違うの?」
男性はお花の名前や種類に弱いが、夫も例外ではないようだ。
「え~っとね、睡蓮はほら、水面に浮くように咲いてるでしょ?
蓮の花は水の中からすっくと茎を伸ばして咲くの(多分・・・きっと・・・)」。
自信満々に断言したものの、いささか不安になって
後でこっそり調べてみました(笑)。
ざっくり言うと正解。ほっ。
睡蓮は水面に花、蓮は水面より上で花が咲く。
睡蓮の葉には撥水性はないが、蓮の葉は水を弾く。
睡蓮の葉は光沢があるが、蓮の葉はない。
睡蓮の葉には切れ込みがあるが、蓮の葉はない。
睡蓮は朝開き、夕方閉じる種類が多く、
蓮の花は大抵お昼前には閉じてしまうなどなど。
どちらも水生植物なので昔は近い種類と思われていましたが、
近年進んだ遺伝子解析などの結果、
睡蓮はスイレン目スイレン科、蓮はヤマモガシ目ハス科と
実はかなり異なる種類であることがわかりました。
ま、食いしんぼ的に最もわかりやすいチェックポイントは
「レンコン」ができるのは蓮だけってことかな(笑)。
さらに蓮はお釈迦様の国、暑いインド原産ゆえ、
涼しい北海道では自生しませんが、
睡蓮は温帯から熱帯まで広い地域に多種類分布、
「モネの庭」で有名なジヴェルニー村も北フランスに位置していて、
札幌とかなり気候、風土が似ています。
以上、様々な観点から、目の前のピンクのお花は
間違いなく「睡蓮」と認定して良いでしょう(笑)。
私に絵心があったら、この睡蓮の池を写生して、
モネばりの印象派タッチで仕上げたいところですが、
iphoneでパチリと写して心のフォトアルバムに収めました。
本当に・・・見れば見るほど・・・ここは「モネの庭」のよう。
世界のお天気が一瞬でわかるデジタル時代、
本日のフランス、オート=ノルマンディー地方、ウール県、
レ・サンドリ郡、エコー小郡、ジヴェルニー村のお天気は、
晴れ、最高気温は24度、最低気温が9度。
おおお~、ほぼ札幌と変わらない。
モネが愛した庭がある村と札幌は気候がよく似ているんだ。
よく晴れた秋の一日。
緑が滴るようなジヴェルニー村の睡蓮の池と
赤れんがの前庭にひっそり隠れるようにある睡蓮の池には
とてもよく似た清々しい風が吹き抜けていくということだ。
札幌にいながらモネが感じた風に会える。
前のめりをちょっと卒業して見つけた素敵スポット。
これだから街歩きは面白い。
(写真は)
名付けて「さっぽろジヴェルニー」。
モネが愛した庭のように美しい睡蓮の池。
道庁前庭の南東側にひっそり隠れるようにあります。
水面に浮かぶピンクの花の中で
小さな妖精がダンスしていても不思議じゃない。
日常の風景にファンタジーは潜んでいる。

