郷愁四重奏

沖縄で中華を食べたくなったらここへ行こう。

春になると同じ巣に戻ってくる燕のように。

「夏の沖縄旅」8日目、最終日前日の那覇ランチは

県庁前の人気中国食堂「燕郷房(ヤンキョウファン)」へ。

香港の路地裏レストランのような異国情緒あふれる店内は

ちょうどお昼どき、近くで働くサラリーマンなどが続々入店、

さあ、負けずに(笑)ガッツリ食べるぞ~。

ディナータイムには何度も訪れていますが、

平日ランチタイムは初めて。

さっそくメニューを見てみましょう。

「麻婆豆腐定食」「四川坦々麺」「海鮮レタス入り汁ビーフン」・・・

むむむ~、どれも美味しそう、と迷う旅人の目に

壁の張り紙の文字がガツンと飛び込んできた。

「蜜汁叉焼」・・・毎日焼きたてとな・・・、

ぴかぴか照り照り蜜汁をまとったチャーシューが私を誘惑する。

もうこうなったら、この人気メニューしかないでしょう。

「燕郷房」名物「ダブルのせごはん」。

くだんの自家製「蜜汁叉焼」とネギだれたっぷりの「蒸し鶏」に

味つけ半熟卵に青菜炒めがごはんに乗った大満足丼。

お店人気の前菜メニューをダブルでのっけちゃったごはん、

ガッツリ気分のランチにはぴったり。

早速オーダーしました。

ほほ~来た来た来た~!

真っ白い丼に蜜色に光るチャーシューと

胡麻油の風味も香ばしいネギだれをまとった蒸し鶏が

高々と盛りつけられ、想像以上のボリュームに圧倒されます。

緑が鮮やかな青菜炒めもシャッキリ温かく作りたて、

肉汁たっぷりのダブル主役に半熟卵の黄身がとろ~りと絡み、

ご飯が進む進む、止まらない~。

香港スタイルの蜜汁叉焼は実に魅惑的だ。

お肉を甘くローストした旨さを知ったのは返還前の香港だった。

混沌と活気がうずまくような街の屋台の軒先に

真っ赤な叉焼の固まりが電飾に照らされて幾つもぶら下がり、

てかてかピカピカ美味しい光沢を放っていた。

日本風のお醤油味の叉焼しか知らなかった私には

肉の旨みと蜜の甘さが絡み合う香港式叉焼の味は驚きだった。

そうだ、甘い叉焼がたっぷり詰まった点心も絶品だったなぁ。

ふかふかの蒸し饅頭やタルト風の生地で包んで焼き上げた

甘い蜜汁叉焼餡入りの点心類。

外国の人は豆を甘く煮る日本の餡に驚くらしいが、

日本人の若い旅人は香港の甘い豚肉に大いに衝撃を受け、

かつ、恋に落ちたものだった。

香港旅行中、ハマって何個も食べたよな~甘い叉焼饅頭。

そういえば、最近の香港では

「叉焼メロンパン」なるB級グルメが人気らしい。

日本のメロンパン風のクッキー生地を載せたパン生地で

甘い香港式叉焼餡をたっぷり包んだ菓子パン?おかずパン?

「菠羅叉焼包(ホーローチャーシュウポウ)」という名前で

直訳すれば「パイナップル叉焼パン」、

正しくはメロンパンではなくパイナップルパンってことか。

甘さとしょっぱさが絶妙にコラボした塩スイーツ系の進化版、

塩大福や塩羊羹、塩キャラメルの旨さに通じる。

両極の味覚を同時に刺激される快感は万国共通らしい。

お昼どき、ますます賑やかになってきた那覇の中華食堂で

名物「ダブルのせごはん」の蜜汁叉焼を噛みしめながら

心の中の思い出アルバムに浸る旅人の耳には

店内の話し声がいつしか忙しい広東語に聞こえてくるようだった。

甘い叉焼とネギ塩蒸し鶏と青菜炒めと半熟卵。

美味しい四重奏が誘う郷愁香港。

那覇の食堂で香港の白昼夢に浸る。

夢から醒めたら、また街歩きだ。

旅の残り時間もそろそろカウントダウンが始まる。

(写真は)

「燕郷房」のおいしいとこどりランチ

「ダブルのせごはん」。

小食女子なら2人でシェアできちゃうほどのボリューム。

美味しかった~。

ごちそうさま~。