朝市場旅情
テレビをつければどの番組でも「お祈りスタイル」の映像が。
やはりねぇ~、予想通り。
ラグビーW杯、日本の歴史的勝利の立役者となった五郎丸選手の
あのキック前のお祈りにも似た儀式、
ネットやメディアが食いつかないわけがありません。
お笑い芸人のネタになるのも時間の問題かも(笑)。
野球の「イチロースタイル」をこぞって真似した世代が
その後当たり前のように続々メジャーに挑戦したのと同じように
「五郎丸スタイル」に憧れるラグビー少年たちも
これから続々と世界ラグビーに飛翔していくことでしょう。
2015年は日本ラグビーにとって
エポックメイキングな年になることは間違いありません。
さあ、次のスコットランド戦は日本時間の明日の夜キックオフ、
今から、コンディション整えておきましょう(笑)。
さて、これまで思い出を反芻するように綴ってきた(笑)、
「夏の沖縄旅」リポートもいよいよ最終章。
沖縄を離れる最終日の朝、
那覇の古い街角にある心地よい朝カフェ「Kuma cafe」で
パン屑のかけらまで心のこもったモーニングを頂き、
いったん、定宿ホテルに戻りました。
チェックアウトの時間までまだ少しだけ余裕があります。
超特急で恒例の生鮮食品買い出しに行っちゃましょう。
まずは市場本通りの青果店で
元気なゴーヤー、ナーベラー、そして摘みたてのハンダマーを。
表は緑、裏は赤紫のアントシアニンたっぷりの香りの良い葉野菜。
宮古島のホテルの朝食ブッフェのサラダでたっぷり食べましたっけ。
ちょっと菊のような爽やかな香りが忘れられません。
それからっと・・・ん~?お隣の店先からいい匂いが。
あ~、揚げたてのてんぷらだ。
お隣は昔ながらのお惣菜屋さん。
狭い通りにせり出すように並んだおかずやお弁当が食欲を誘います。
大きなじゅーしーおにぎりやがっつり弁当の横にあるガラスケースには
すぐ奥の厨房で揚げたばかりのてんぷらが。
魅惑的な匂いの元はこの揚げたてのてんぷら軍団。
え~っと、今日の夕方には札幌に着く予定ですから、
今晩のプチ晩酌のおともには最適。
那覇の市場の出来たて沖縄おかずこそ、
札幌でお留守番の夫へのいちばんのお土産になります。
「え~っと、魚ともずくといかと・・・あ、ヨモギも下さい」。
前のめりで注文する旅人の横から
「これ、ひとつ、もらってくよ~」、ガテン系のお兄さんが慣れた様子で
すっと手を伸ばし、がっつり弁当をわしっとつかみ、
ぴったり釣銭入らずのお勘定をお店のお姉さんに渡して去っていく。
きょう一日の労働を支える市場の地元弁当。
那覇の朝市場の風景はいつも力強くて、素敵だ。
「はい、どうぞ!」。
お姉さんから渡されたてんぷらの包みをそっと胸に抱く。
揚げたての香ばしい匂いが鼻をくすぐり、
じんわりとした温かさが紙袋とビニール袋を通して伝わってきます。
卵をたっぷり使ったぽってりと厚い衣が特徴的な沖縄てんぷら。
塩味もしっかりついているのでそのままパクリといただけます。
おやつにも夕飯のおかずにもビールのおつまみにも
どんなシチュエーションにも対応可能な万能B級グルメ。
そういえば旅の途中、レンタカーでずっと地元FM局を聞いていたのですが、
リスナーからのメッセージに最高のてんぷら話がありました。
「ウチのおばぁ、『あー、昨夜のてんぷら冷めてるね~』と言った後、
おもむろにそのてんぷらにもう一度衣をつけて揚げ(!)、
『はい~、てんぷらのてんぷら、アチコーコーだよぉ~』とすすめた」。
可愛い孫に熱々のてんぷらを食べさせたいおばぁの愛と
てんぷらは「アチコーコー(熱々)」でなければならない沖縄ルール、
その両方が生んだリアル面白エピソードであります。
沖縄はおばぁの愛もてんぷらも、熱い。
朝一番の弁当を買いに来る人、
入荷したての島野菜を吟味する料理上手そうな主婦たち、
忙しく行きかう荷車やダンボールを担ぐ若い衆、
のんびり平台の上にもやしなど並べながら店開きするおばぁたち。
マッサージ店の前に行列するシニアなご近所軍団。
いつもの一日が始まった朝の市場通りで
明日はもうここに来られないのは、自分だけなんだなぁ・・・。
地元の市場で地元の空気に染まったつもりになっていたけど、
そうだ、自分は、旅人だったんだ。
好きになればなるほど、
いつか帰らねばならない旅人であることが切なくなる。
旅の最終日、朝の市場で、いつも少しだけ淋しくなる。
朝市場旅情。
てんぷらの温もりと別れのしょっぱさを抱えながら
もう少しだけ、市場の喧騒に身を任せよう。
刻々と飛行機の時間が迫ってきた。
旅はもう少しで終わる。
(写真は)
ガラスケースに並ぶ沖縄のソウルフード。
揚げたてのてんぷら。
どこの市場の片隅にもてんぷら屋さんがある、
地元の人は「てんぷらやー」と言うんだとか。
そのまま食べてもおいしいけど、
ウスターソースにつけるとまた旨いらしい。
ミックスカルチャーの天才だな、沖縄は。

