フレンチ・シリシリ

クリスマス・イブ。

札幌は冬の朝日が優しくきらめき、

どうやら穏やかな聖夜になりそうです。

誰もが幸せなイブを過ごせますように。

生まれたばかりのお日さまにお願いしました。

さて早めに済ませた我が家のクリスマス・ディナー。

主役の美味しい呪文「鶏肉のチリンドロン」については

昨日、詳しくご紹介しましたので、

本日は今年の名脇役、秘密の野菜料理を。

その名も「オレンジ・キャロット・ラぺ」であります。

食卓がいっぺんに華やぐオレンジ色が美しい一皿です。

「キャロット・ラぺ」はフランスの家庭料理の定番。

ラぺとはフランス語で細切りとか千切りという意味で

にんじんを細長くすり下ろしてビネガーやオイルで和えるだけの

お手軽簡単フレンチにんじんサラダです。

寝かせることで味もしみこんでより美味しくなるので

フランスの家庭の冷蔵庫には常備されている野菜料理。

カフェやブラッスリーの定食にもよく添えられ、

オレンジ色の卓上花のようにテーブルに華やぎをもたらします。

「まあ、なんて爽やかで美味しそうなオレンジ色。

よぉ~し、野菜料理はコレに決めた♪」。

クリスマスのメニューを考えているときに

たまたまテレビの料理番組で紹介されていたレシピに

思わず食いつき、今回早速作ってみたのが

この「オレンジ・キャロット・ラぺ」。

にんじんとオレンジ、オレンジ色のダブルキャストがキーです。

まずは片方の主役、にんじんの皮をむき、

細い千切りにしていく・・・のですが・・・、

そうだ、そうだ、我が家には秘密兵器があったではありませんか。

沖縄の定番家庭料理「にんじんシリシリ」用の「シリシリ器」。

わざと粗めにすりおろせる優れモノの調理器、

絶対、シリシリした方が味がしみるよねぇ~。

というわけで、シリシリ、シリシリしたにんじんに軽く塩をふり、

少し置いておきます。

次にもうひとつの主役オレンジ。

白いところを残さないように皮を剥き、半月型にカットし、

おいておいたにんじんの水分をよ~く絞り、一緒にボウルの中へ。

おおお~、オレンジ色のグラデーションが実に美しい。

ここへ、オリーブオイル、レモンの搾り汁を加え、

タマネギのすりおろしをほんの少々、

そして、あっと驚くサプライズ隠し材料を投入します。

絶対、誰も、想像がつかないと思うなぁ。

白くて、薄くて、強い旨みに個性的な香り。

日本のオジさんたちが大好物のアレ・・・。

お洒落なフランスの定番サラダに、まさかの・・・、

「イカのくんせい」、であります!

ひょえ~っ、私もテレビでレシピを観た時は驚きました。

さすが料理研究家、発想と味の蓄積が違いますな~。

確かにねぇ~、「イカくん」、旨み強烈だもんなぁ、

いい味だしてくれるかもねぇ、多分・・・。

フレンチ感満載のオレンジ色のラぺのボウルに

オヤジ感満載の珍味「イカくん」を恐る恐るちぎって入れる。

パリのカフェのテーブルにいきなり珍味が出てきたような・・・。

ホントに、大丈夫・・・だよねぇ・・・いささかの不安も残るが、

ええ~い、運を「イカくん」にまかせよう(笑)。

さっと塩、胡椒で味を整え、ラップをして冷蔵庫で寝かせます。

フランス惣菜と日本の珍味の競演は、いかに。

さあ、クリスマスの食卓の始まり。

「オレンジ・キャロット・ラぺ」は美しい色を生かすため

白いボーンチャイナに盛り付けました。

緑のイタリアンパセリがよく映えてさらに華やか。

さあ、召し上がれ~。

「今年、初登場の秘密のフランス家庭料理、お味はいかが?」。

「うん、美味しい!爽やかで柑橘の香りもよくて、旨い」。

「その旨みの秘密わかる?白いモノ何だと思う?」

「ん~?白いの?コレ?・・・何だ?チキン・・・じゃないし・・・」。

ふふふ、してやったり!

「正解は、イカくん、でした~!」。

「えっええ~!イカくん!?なるほどねぇ~、旨みたっぷりだもんね~」。

食卓に仕掛けた小さなサプライズに楽しい会話が行ったり来たり。

ありがとう、神様。

クリスマスにこうして食卓を囲める幸せをしみじみ噛みしめます。

心づくしの料理を作れる楽しみ、それを食べてくれる人がいることの喜び。

目の前の暮らしを慈しみ、大切にしていこうとあらためて思いました。

ありがとう、イカくん。

にんじんとオレンジの爽やかな甘さに

絶妙な旨みが加わった「オレンジ・キャロット・ラぺ」、

ほんの少し加えたたまねぎのすりおろしが全体を美味くまとめ、

珍味やお魚っぽい匂いなどはいっさいありません。これは、奇跡。

フランスと日本が見事にマリアージュした一品に仕上がっています。

さらに特筆すべきは沖縄の「シリシリ器」。

ざらりとした断面に美味しさがあますところなくまとわり、

日に日に味が染みて、おいしくなっていくのでした。

「オレンジ・キャロット・ラぺ」。

またの名を「フランス・シリシリ」と名付けよう。

真っ白な雪の季節におすすめのオレンジ色の奇跡。

「イカくん」買うのをお忘れなく、ね。

(写真は)

翌日の「オレンジ・キャロット・ラぺ」。

ふ~む、確かに、さらに美味しくなってる。

にんじんとオレンジとイカくんとそのほかの材料と。

すべてのマリアージュがさらに馴染んで・・・。

年月を経た良き夫婦のように、いい味。

新婚もいいけど、ベテラン夫婦もね(笑)。