桜貝のぬくもり
年老いた親の爪。
娘の思いはみな同じなのね・・・。
朝刊をめくる手が思わず止まる。
爪切り。
ささいな日常の大切さよ。
以前「白い爪」というタイトルで
巻き爪になってしまった亡き父のことを書きましたが、
そのきっかけとなったのが新聞の読者エッセイでした。
そして今朝の投稿欄にもまた「親の爪」に寄せる、
娘さんの思いが綴られていたのです。
グループホームでお世話になっていた90歳のお母さんが
2度目の脳梗塞を発症し、急性期を過ぎたので
自宅近くの病院へ転院することになったのですが、
ずっと気になっていたのが「タカの爪のように伸びた」足の爪。
それが転院して3日目、きれいに切りそろえられていたのです。
家族の思いとは、人間の尊厳とは、病院の質とは
「そういうところにあると思えてならなかった」と綴っています。
そうなのよね・・・そうなのよ・・・。
わかる・・・わかる・・・泣きたくなるくらい、よくわかる。
たとえ終わりが近づいていても、動けなくても、
言葉を発することができなくても一人の人間として向き合ってほしい。
それが家族の思いであり、本音だけれど、
忙しくハードな医療や介護の現場を知れば知るほど、
なかなか口には出せなかったりする。
でも、タカのような爪に誰かが気づき、
きれいに切りそろえてくれていた。
爪切りというささいで小さな日常の行為には
ケアの本質が込められているような気がします。
娘さんの目にはちゃんとお手入れされた90歳のお母さんの爪は
どれほど美しく見えたことでしょうか。
老いて小さくなった足の爪。
桜貝ほどのぬくもりよ。
「透きとおる桜貝 あなたの好きな色」。
その昔、近田春夫が歌った「東京物語」のフレーズが
ふと蘇ってきました。
歌謡曲をハルヲフォンがカバーすると見事なロックになっていて
「きょうから赤い爪 あなたに見せない」に続くムード歌謡っぽい歌詞も
なんだかものすごく新鮮に聞こえてきたものです。
桜貝のような爪、それはささいな幸せを象徴するアイコン。
娘さんはこれからお母さんの「爪切り人」として寄りそっていくと
投稿の文章を締めくくっていました。
春の雪解けを待ちながら
ひだまりで桜貝のような母の爪をぱちんぱちん。
穏やかな春が訪れますように。
(写真は)
北海道粒あん党党首が
スタッフ女子からいただいたバレンタイン・あんこ。
花園饅頭の桜きんつばと栗きんつば。
桜の香りと少しばかりの塩気がいいアクセントに。
掘安園の焙じ茶とよく合います。

