太っ腹タルト

あ~、

大好きな「のの字」のタルトだ、

しかも大好きな六時屋さんだ、

思わず物産展の広告に食いつく。

甘いもんセンサーが激しく振れる(笑)。

さすが(自称)北海道粒あん党党首の夫、

妻の興奮をすかさずキャッチ、仕事の帰り道、

わざわざデパート催事場まで足を運んで、

ちゃんとゲットしてきてくれましたよ。

四国愛媛は松山の名物菓子「六時屋」の「タルト」。

しかも創業70周年記念のスペシャル版、

昭和天皇にご用命を賜った「超特選タルト70」であります。

粒あん党党首、こしあん系タルトにも理解が深い。

「タルト」といえば、普通はパイやビスケット生地に

フルーツやクリームが盛られた洋菓子を思い浮かべますが、

松山の人々にとっての「タルト」はまったく違います。

スポンジ生地であんこをのの字型に巻きこんだ、

いわば和風ロールケーキ、それが松山のタルト。

市内の空港や駅やビルの看板にあふれる

「タルト」の3文字が示すのは他県とは異なる別物。

その歴史は今から300年ほど前の江戸時代に遡ります。

幕府から長崎探題を命じられた松山藩主、松平定行は

海上警備に向かった長崎でポルトガル船などと接し、

オランダ人を通じて「Tart Lette(タルトレート)」に出会います。

当時の南蛮タルトはカステラの中にジャムが入ったもので

その味に感動した定行公は製法を松山に持ち帰り、

日本になかったジャムを餡に変えて作らせたのが

今の「タルト」の原型と言われています。

スイーツ好きのお殿様のおかげで生まれた「タルト」、

さらに太っ腹なことに秘伝とされた御殿菓子の製法は

明治以降、城下商家にも伝えられ、

その後、材料や製造工程に改良が加わって、

現在の松山「タルト」文化が花開いたのであります。

全国区の「一六本舗」、栗入りで有名な「ハタダ」、

そして昭和天皇御用命の「六時屋」の三つが有名ですが、

私の押しタルト(笑)は「六時屋」。

松山を旅した時に初めて出会い、その味に感動。

しっとりしたスポンジは卵の風味がゃんと感じられ、

たっぷりまきこまれたこしあんがまた素晴らしい。

時代に流されないほど良い甘さと柚子のバランスが絶妙。

ちゃんと甘いから、美味しい。

和菓子の伝統がしっかり受け継がれている。

旅先で自問した、なんで今まで知らなかったんだ?六時屋。

それもそのはず、

お店は本店と道後温泉店の2店舗だけ。

県外でお目にかかることがほとんどない、

いわば「県外不出」のレアな名物菓子なのであります。

物産展のチラシで「六時屋」の文字に食いつくのも必定(笑)。

松山のお殿様、ありがとう。

あなたが甘党でホント、良かった。

「タルト」は松山の自慢であり誇り。

1954年に愛媛県菓子工業組合によって商標登録されました。

実はある菓子店が「タルト」の商標を取ろうとしたところ、

「愛媛の銘菓にすべきだ」との声が出て、組合が申請、

現在は組合のタルト部会およそ200人が使用を許されています。

「タルト」はみんなの財産、一人占めは野暮。

お殿様の甘い太っ腹DNAは

城下にきちんと受け継がれているのですね。

残雪まぶしい北海道で松山銘菓に舌鼓。

お菓子を巡る土地の歴史や

甘いプライドも味わいながら春を待つ。

お殿様タルトは味わい深い。

(写真は)

卵色ののの字。

「六時屋」の「超特選タルト70」。

チリ・アンデス山中、アラウカ地方の固有種

殻の色が青いアローカナから改良された専用卵、

「幸せの青い卵」が使われています。

こくのあるこしあんは北海道産の厳選された小豆。

アンデスと北海道と松山のコラボは、絶品。