やさしい坊ちゃん

「タルト」のお次はあの名物団子。

春を待つおやつタイム、

松山銘菓シリーズの第2弾は

夏目漱石ゆかりの「坊ちゃん団子」。

明治の文豪は団子好きでありました。

ん?文学全集?

昨日、外出先から戻ると食卓テーブルの上に一冊の本が。

いやいや、近寄ってみると、文学本のような装丁をした和菓子の箱、

お~、あの名物団子ではありませんか。

先日の「六時屋タルト」で勢いづいた夫が

またまた四国愛媛の物産展で松山銘菓をゲット。

道後温泉名物「坊ちゃん団子」であります。

「或る晩道後と云う所へ行って団子を食った。

此の道後と云う所は温泉のある町でおれの這入った団子屋は

遊郭の入り口にあって大変うまいと云う評判だから

温泉の帰りに一寸と食ってみた」。

小説「坊ちゃん」の一節にあるように、

夏目漱石が旧制松山中学に教師として赴任していた頃、

道後温泉に行った帰りに食べた団子にちなんで作られたのが

松山名物「坊ちゃん団子」。

実際に漱石が食べた団子屋はもう現存していませんが、

「千と千尋の神隠し」のモデルにもなった道後温泉本館では

湯上りのお茶のおともに三色の坊ちゃん団子が出されます。

温泉で温まった身体を粋な浴衣に包み、ほっと一息。

古き良き明治のノスタルジーを現代に伝える風格あるお座敷で

赤い漆の典雅な茶器とともに小ぶりの団子を食む至福のひととき。

うふふ、気分はすっかり明治のマドンナ(笑)。

以前、松山を旅した時の思い出が蘇ってきます。

あのノスタルジック団子がふたたび目の前に。

夏目漱石の写真も印刷されている装丁風の包みを開けると、

これこれ、この色、この三色。

緑、黄色、小豆色をした小ぶりなお団子がお行儀よく並んでいます。

普通の串団子の半分ほどのミニサイズが可愛らしい。

確か道後温泉のお茶請けに出されていたのが

この「うつぼ屋」の坊ちゃん団子だったように記憶しています。

かなり年齢のいった坊ちゃんとマドンナよろしく(笑)、

夫婦差し向かいで、いざ「坊ちゃん団子」実食。

う~ん、うまいうまい。団子はやはり、

坊ちゃんが言うように「うまい」という形容詞がよく似合う。

さらりとした餡に柔らかなお餅がそっと隠れていて、

親指サイズなので一人2本は軽くイケます。

漱石が食べた当時のお団子は

赤餡と白餡を三つ串に刺したものらしいのですが、

今では緑、黄色、小豆色の三色が坊ちゃん団子の定番カラー。

ちなみに「うつぼ屋」さんの場合、

もともと抹茶あん、黄身あん、小豆あんで作っていましたが、

卵アレルギーで食べられない人もいるということから

今では白餡をクチナシで染めて、

誰でも食べられる「坊ちゃん団子」になっているそうです。

なんだか、やさしいね。

誰でも食べられるようにそっと材料を工夫するなんて。

短気で暴れん坊の坊ちゃんに周囲は振り回されますが、

良き理解者だった女中の清だけは何があっても

「まっすぐで良いご気性」で褒めてくれました。

三色の小さな団子の真ん中をすっと貫く串は

坊ちゃんスピリッツそのものなのかもしれませんねぇ。

まっすぐで、良いご気性で、やさしい。

松山の名物団子は、実にうまい。

やばい、もう1本、手が伸びそう(笑)。

(写真は)

萌えいずる若草の緑に

菜の花のような黄色、

雪解けの大地を思わせる小豆色。

日本人の季節DNAに訴えかける三色よ。

見た目もうまい坊ちゃん団子。