ダウントン・エクササイズ
そうだったのか。
椅子の背もたれとは
背中を預けるためにあるのではなかった。
凛とした誇りのために存在していたのか。
イギリス貴族のマナーの真髄にびっくりぽん。
世界中がハマっている大ヒットドラマ「ダウントン・アビー」。
第一次世界大戦前後の激動の時代を背景に
20世紀初頭の英国貴族とその使用人たちが織りなす人間模様は
重厚かつジョットコースターのような劇的なストーリー展開の連続で
一度観ると、毎週目が離せなくなりますが、
先日の放送は閑話休題的な特別ヴァージョン、
これがまた実に興味深い内容でした。
「ダウントン・アビー」の魅力のひとつは
華麗なる英国貴族の世界を忠実に再現した徹底的な時代考証。
特別番組では美術、衣装、調度品、キャストの立ち居振る舞いまで
番組の時代考証を担当しているアラステア・ブルース氏が案内人となり、
撮影の舞台裏を紹介していく、必見モノでありました。
ダウントン・ファンなら見逃せません。
食事のマナー、帽子や手袋の扱い方、会話の作法などなど
ヴィクトリア朝の英国貴族のお作法の秘密が
次々と明らかにされていくのですが、
一見、堅苦しく、権威的、形式的に思える貴族の作法は
彼らの精神的支柱であるということがわかりました。
豪華な食事も、一日に何度もする着替えも、貴族としての存在意義そのもの。
ただのわがまま、無駄に思える作法は
多くの使用人たちの糧を支える装置という側面もあったようです。
なかでも興味深かったのは
当時のイギリス貴族が食事やお茶の時間、社交の場面などいつでも
決して喜怒哀楽の感情をあらわにしない理由。
大きな声で笑ったり、怒ったりなどは超マナー違反とされていました。
自らもスコットランド貴族の末裔であるブルース氏によると
民衆のエネルギーが爆発しておきたフランス革命が大きく影響していて
貴族たちに感情を表すことへの恐れやためらいが生まれたためだとか。
へぇ~、世界史の授業じゃ習わなかったなぁ~。
海外ドラマは生きた教材であります。
さらに驚いたのは、冒頭の椅子の背もたれの一件。
美しく豪華な食卓に据えられた椅子には
背もたれに贅をこらした彫刻などが施されていますが、
これは「背中を預ける」ためのものではなく、
使用人が座る貴族のために、すっと「引く」ためのもの。
背もたれ、ですが、背中を預けてはこれまた超マナー違反。
貴族って、大変。
確かに、ドラマの食事の場面、
どの登場人物も、男女問わず、全員、姿勢が実に美しい。
背筋がピンと伸び、むやみに食卓に手を預けることなく、
自らの腹筋、背筋、起立筋を総動員して上半身を美しく支えている。
背中が曲がっていたり、骨盤が倒れて腰が折れている貴族など
ドラマを見る限り、一人もいない。
老伯爵夫人役のオスカー女優、マギー・スミスの姿勢など惚れぼれします。
英国貴族のインナーマッッスルは相当鍛えられている(笑)。
しかし、この特別番組を見て、
21世紀日本の超庶民でありますが、美しい姿勢のため、
ちまちま努力していたことは間違いではなかったことが証明された(笑)。
電車や地下鉄やカフェの椅子に座る時、
背もたれとの間にテニスボール一個分の隙間をあけて
背中を預けずに座骨を座面に垂直に立てて座るように、
え~っと、なるべく(笑)努力する。
椅子の背もたれは、アタクシのためではなく、
使用人たちが引くためのもの。
妄想ダウントン・エクササイズで
美しい姿勢を手に入れよう。
庶民も、努力だ(笑)。
(写真は)
イギリスといえばウィスキー、
ウィスキーといえばウィスキーボンボン、
てことで、無理やりな展開ですが、
バレンタインに頂いた、吟醸酒&泡盛古酒ボンボン。
どちらもたしなまないもので、違いがよくわからなかったけど、
どちらも美味しゅうございました。

