ゆいまーるアフター

まあ・・・何ということでしょう。

ガタガタの戸が片手です~っと開く。

南の島の素敵すぎるビフォー&アフター。

ゆいまーるの花が咲いた。

問題だらけのお家が劇的に生まれ変わる番組、

「大改造!劇的ビフォーアフター」。

昨日の物件は日本最南端の島、沖縄は波照間島、

思わず最初から最後まで観てしまいました。

いやこれがホント、問題山積の大変な物件、

雨も土もふる家だった。

築56年の赤瓦の伝統的古民家は

青い空に年月を経た赤瓦が美しく映え、

いかにも沖縄の原風景だわぁ~と見惚れますが、

いったん雨が降りだすと家中の天井から大量の雨漏りが発生。

屋根の老朽化が進んだためで、ダンボールを貼って応急処置をしますが、

今度はそのダンボールを取り換えようとすると

天井からなぜか大量の土が落ちてくる。

雨と土が降る原因を探ろうと屋根を見上げれば、

ひょえ~、そこには謎の植物が・・・。

古い赤瓦にはびっしりとガジュマルのような頑丈な草が繁茂していた。

赤瓦の屋根に草が生えている。

こういう古民家、ほかの離島でも見かけたことがあるような。

実は土の上に瓦を乗せた昔ながらの「土葺き」の屋根のため、

風にのって飛んできた外来種の草が根づき、

雨漏りや土降りの原因になっていたのです。

問題は屋根だけじゃない。

沖縄の伝統的な家ゆえ、水周りは離れにあるのが一般的。

母屋にはトイレも風呂場もない。

風が通る開放的な作りは南国の気候に合っているが、

開けっぱなしの戸から虫やヤモリも出入り自由。

そして最大の懸案は、島には建材もない、大工さんもいない。

さあ、どうする?リフォームの匠、

という導入に、すっかり乗せられて、最後まで観ちゃった(笑)。

いやはや、感動した。

もちろん快適に生まれ変わったアフターぶりも素晴らしかったけど、

リフォームの過程で明らかになってきた島のビフォーに感動。

雨も土も降る家には波照間の暮らしの歴史が刻まれていたのです。

問題の古い赤瓦をはがし、土を除いてみると、頑丈に編まれた竹が。

さらにその竹を取り除くと、微妙に曲がった垂木が姿を現したのです。

屋根を支える垂木に使われていたのは、何とマングローブ。

南国の湿地帯を這うように繁茂するあのマングローブです。

波照間島には森がありません。

森がなければ木材もない、家を建てる材料がない。

そこで家を作る建材のほとんどは

島のほとんどが熱帯ジャングルに覆われている、

お隣の西表島から運ばれてきたのだそうです。

くねくねと微妙に曲がるこの天然の垂木は、半世紀前、

今は天然記念物となったマングローブの森からやってきたのでした。

しかも当時は島の人総出で家を作っていたそうです。

お隣の島からやってきた貴重な建材を大事につかいながら

みんなで助け合いながら、家を建てる。

まさに赤瓦の古民家は「ゆいまーる」精神の結晶でした。

しかし、時代とともに大工仕事ができる島民が減り、

現在人口530人ほどの島には、大工さんがいません。

そこで匠は本島からベテラン棟梁をオファー、

いよいよ劇的大改造が始まったのでした。

謎の草木が繁茂、雨も土も降る古い赤瓦の古民家。

強烈な南国に日差し、スコール、台風に耐えながら

半世紀もの間、ふんばってきた家の屋根裏には

森のない島、ゆいまーるの心、

もの言わぬ島の誇りがいっぱい潜んでいました。

はがされていく赤瓦ひとつひとつに「お疲れさま」。

そして匠はマングローブの垂木に敬意を表し、

そのまま活かして、アフターの家に利用したのでした。

もう一つ、素敵なエピソードが。

ある日、作業を中断して匠と棟梁が向かったのは

島の人々が出資して経営している「共同売店」。

沖縄独特のコミュニティを支える地域コンビニのようなお店ですが、

その店の引き戸が、めっぽう建てつけが悪い。

直したいけど、島には大工さんがいない。

おばぁたちが難儀して開け閉めしているのを見た棟梁が

修理をかってでたのでありました。

「あ~、指一本で開くわぁ~!」

何ということでしょう、見事に生まれ変わった共同売店の戸。

ガタピシとは、もうさよなら。

「ここには、本島が忘れかけている『ゆいまーる』がある。

私が、感謝したい」。

感激した島のおばぁたちから神様みたいに握手を求められた棟梁が

しみじみ語った言葉に、また感動。

家はいつか朽ちていくれど、

そこに根づいていた島の誇りは

しっかりと次の世代に受け継がれていく。

「ゆいまーるアフター」。

半世紀生きてきた赤瓦は、雄弁だった。

(写真は)

波照間、ではありませんが、

こちら宮古島の老舗そば店の赤瓦。

青い空に何かを雄弁に語っている。