チャチャニレと煉瓦

樹齢500年の大木と

百年煉瓦に見守られ、

お菓子文化にひたる幸せ。

歴史をあじわうサロンです。

「そうだ、ついでに寄り道していこう」。

昨日の午後、歯医者さんに行った帰りに

春のオープン以来気になっていた

「北菓楼」の札幌本店に立ち寄ってみました。

お菓子もさることながら、一番の目的はその建物。

大正15年(1926年)建造の歴史的建造物「旧文書館」が

どんなお菓子サロンに生まれ変わったのか、

甘党としてはこの目で見ておかなくてはなりませぬ。

おおお~、外観はほぼ大正15年竣工当時のまま。

北海道神宮へと続く表参道に「北海道庁立図書館」として建てられ、

昭和42年まで図書館として使用された後、北海道立美術館、

一昨年まで道立文書館別館として使われてきた建物。

柱が複数階にまたがる「ジャイアントオーダー」と

直線を用いた幾何学的意匠を特徴とする

セセッション様式でデザインされた外壁など、

当時の札幌の姿を残す数少ない歴史的建造物は

札幌市の「さっぽろ・ふるさと文化百選」にも選出されています。

世界的建築家安藤忠雄氏による設計のコンセプトは

こうした歴史を丁寧に継承すること。

景観を最大限保存、修復することを基本方針にし、

歴史的価値の高い外壁を保存すると同時に、

耐震・耐寒性を考慮に入れた改修を行いました。

1世紀の間、市民に親しまれてきた建物に敬意をはらい、

必要な補修を行って、未来へつなげた空間デザインは

新旧の美しさが見事に融合しています。

1階は外光が天空から降り注ぐ明るさが印象的。

なるほど、3階分の高さがそのまま吹き抜けになっているんだ。

のびやかな空間をゆったりと使ったお菓子の配置が好ましい。

お菓子とともに建物の息吹も味わってほしいという気持ちが伝わります。

2階のカフェスペースはかつて図書館だったことを継承し、

東西の壁全面が北海道の歴史とお菓子の本で埋め尽くされています。

本当に、お菓子と北海道の文化を満喫できるサロン。

今度、ゆっくり時間を作って、ここでお茶しようっと。

見学初回は、春の草饅頭と黒糖饅頭を買って、

取り急ぎ、おいとますることにします。

その帰り道、南側の出入り口の壁の説明プレートに気づきました。

「これは既存建物のレンガ外壁です」。ふむふむ。

「小口積みと長手積みが交互に積まれ、構造面で優れた

『イギリス積み』となっています」。へぇ~、イギリス積みねぇ~。

「強度試験、吸水試験を行ったところ凍害の影響もなく、

竣工後90年という歳月を経ても良好な状態であることが確認されています」。

すごい。ほぼ百年現役の煉瓦だ。

1世紀に及ぶ風雪に耐えてきた煉瓦の壁は

少しミルキーがかったレンガ色がなんとも美しい。

そっと手のひらを載せると、じんわりとした温もりさえ感じる。

百年煉瓦に見送られて、外に出ると、一本の大木が。

開拓時代から札幌市民に「チャチャニレの木」と呼ばれ、

親しまれてきた樹齢500年のニレの木です。

「チャチャニレ」とは長老のニレの木という意味で

その木陰にはかつて水飲み場があり、憩いの場となっていたとか。

チャチャニレおじいさんも新しい命を吹き込まれた建物に

ちょっと自慢げに寄りそっているようでした。

今回は駆け足の初回訪問でしたが、

近いうちにまたゆっくり訪れることにしましょう。

チャチャニレと百年煉瓦とお菓子が味わえるサロン。

札幌中心部にご自慢スポットがまたひとつ生まれました。

美味しい歴史的建造物、誕生(笑)。

(写真は)

「旧文書館」=北菓楼札幌本店。

ぽつぽつ雨が降り出して、急いで撮影したせいか、

肝心のチャチャニレが・・・足元しか写っていない。

なんたって樹齢500年、

通りの向こう側からじゃないと全景が入らないんだな。

ま、それだけ歴史を重ねているということでご勘弁。