やりもらい

つくづく日本語は、難しい。

毎日使っている母語なのに、

いや、母語だから、難しいのか。

日々是勉強。

またもや「不倫」騒動が芸能ニュースを賑わしていますが、

ご当人による神妙な記者会見映像を見ていて、

事の是非はさておき、やっぱり気になるのが、

「させていただきます」表現でありました。

相手の女性に自分から「声をかけさせていただきました」、

さらには「認知させていただきました」。

う~ん、微妙・・・。

誠心誠意語りたいという気持ちはよくわかるのですが、

どうしてもかすかな違和感を感じてしまうのです。

先日のブログでも触れましたが、

丁寧過ぎて、却って真意が伝わらないような気がします。

シンプルに「自分から声をかけました」と言いきった方が

ずっと潔く聞こえると思うのは私だけでしょうか。

な~んて思っていたら、

朝刊に興味深いコラムが載っていました。

校閲担当者が気になる言葉を取り上げているもので、

今回のお題は「与える」。

「みなさんに勇気を与えるように頑張りたい」などなど

スポーツ選手や芸能人が口にするフレーズですが、

ちょっと上から目線じゃない?と感じる読者も多いというもの。

確かにね~。

多くの辞書が「与える」は

上の者から下の者へ授ける場合に言う言葉としていて、

中には「相手へある気持ちや感じなどを持たせる」との意味を

あげている辞書もあるそうです。

つまり、希望や元気を「与える」、ってことね。

日本語学的にはこうしした言葉は「やりもらい表現」というらしい。

ふむふむ、「与える」「授ける」「あげる」「やる」「もらう」・・・で

「やりもらい」表現ね。

この「やりもらい」表現は

「上下関係の語感を生みやすい言葉」なんだそうです。

そうか、つまり、自分には上から目線の意識がなくても

受け手にはちょっと偉そうに聞こえてしまう可能性があるってことなのね。

ふ~む、本当に言葉のニュアンスとは難しい。

シンプルな表現も大事だし、便利なフレーズに頼ってしまうのも

時として誤解を招くこともあるのですね~。

心せねば・・・。

コラムのおしまいは心に沁みる表現として、

囲碁の名人が7冠独占達成した時の言葉を紹介していました。

熊本地震の被災者を気遣って、こう語ったそうです。

「少しでもいいニュースと受け取っていただけたら嬉しい」。

う~ん、安易に「やりもらい」表現に頼らない素敵なコメントです。

囲碁名人はことば名人でもあるのですね。

勉強になります!

(写真は)

初夏なのに紅葉。

この時季に見られる自然のいたずら。

「夏紅葉」。

青葉に天然の差し色が心憎い。

自然は色の魔術師ですね。