やるとあげる
とうとう、
「あげる」が「やる」に勝利した。
動物にも植物にもやさしい時代、
言葉は世につれ、
世は言葉につれ?
たとえば、ウチの可愛いわんこに
エサを「あげる」?「やる」?
圧倒的に「あげる」と言う人が多いでしょう。
いやいや、小鳥ちゃんや金魚にだって
「エサをあげる」ですよね、多分。
「やる」って何だかぞんざいな感じがするし、
人間さまが上から目線って感じだしねぇ、
で、今やほとんど「あげる」派が優勢勝ち。
日本語としては元来、動植物に関しては
「やる」が使われていたのですが、
1950年代あたりから「あげる」の用例が報告され始め、
70年代にはちょっとした「やる」vs「あげる」論争にもなりましたが、
現在は「あげる」が完璧に勝利した、と、
朝刊の日曜版のコラムに取りあげられていました。
国語辞典編纂者である著者の報告によると、
動物園でエサを食べさせることができるコーナーに立札に
「餌あげ体験」と書いてあったそうです。
本来の用法からすると「餌やり」となるはずですが、
動植物にも「あげる」が一般的になっている昨今、
複合語の「餌やり」「水やり」も
とうとう「餌あげ」「水あげ」の時代に突入したようです。
「あげる」の完封勝ち。
まあ、子どもの数よりペットの数が上回る現代ニッポン、
わんちゃんやネコちゃんや大切な家族同然、というか、家族。
「餌をやる」なんてとんでもない、
「ごはんをあげる」というのが当たり前、なんでしょうね。
ふ~む、朝顔の鉢や庭のミニトマトにだって水を「あげる」、って
気がつけばフツーに言っているかもしれない。
言葉は時代とともに変化する生き物。
新人アナ時代に「餌をやる」と教わってきましたが、
これからは「餌をあげる」でもOKと教えてあげねばなりませんね~。
確かにこの「やる」という言葉は、アナウンサー的にも要注意。
何気ないインタビューの時など相手に対してついつい、
「今、何をやってるんですかぁ?」なんて聞いたりしますが、
これも、ちょっとぞんざいと言うか、いささか下品な感じが否めない。
「何をしているんですか?」と聞いた方がずっと印象がいいよねぇ。
「やる」という動詞には実にたくさんの意味があって、
「遣る」「被る」などの漢字で表されますが、
なかには「殺る」なんて物騒な俗語もあります。
酒を一杯やる」とか「煙草はやりません」とも言うように、
けっこう大人な、俗っぽい表現にも使われますし、
たくさんの意味の中には男女の関わりを示唆する場合も。
あまり無雑作に「やる」は連発しない方がいいような気がするのは
考えすぎでしょうか。
でも一度口から出てしまった言葉は回収できないし、
こちらの思いと違うニュアンスや印象を与える場合もある。
用法としては間違ってなくても、
それこそ「不適切」な言葉になってしまうかもしれない。
たかが「やる」。されど「あげる」。
ううむ、日本語は難しい。
生涯勉強、だわぁ。
(写真は)
こちらはカナダのお土産。
人気のメープルクリームクッキーのチョコヴァージョン。
メープルシロップ+チョコ・・・甘い、甘いが美味しい。困った(笑)。
ちなみに「お土産をやる」よりは
「お土産をあげる」方が言葉美人かな。

