サンゴの海の夏告げ魚

梅雨明けの沖縄夏旅2016リポート。

旅の前半は北海道から石垣島へ飛んで3泊します。

2日目は離島ターミナルを早朝出航、

「西表島・由布島・小浜島・竹富島」の八重山4島を

所要時間7時間半、一日で一気に巡る欲張りツアーに参加、

ラストの竹富島を後にして、夕方5時過ぎ、石垣島へ帰島。

島の英雄、具志堅用高氏のブロンズ像が

南国の眩しい夕陽に照らされ、迎えてくれました。

ただいまぁ~。

はあ~、やればできる(笑)。

最高のロケハンツアーでした。

いささかヨロヨロしながら送迎バスに乗ってホテルへ。

さっとシャワーを浴びて、一息いれ、着替えを済ませたら、

石垣島2日目の夜のお楽しみ、今晩のテーマはザ・島魚。

ダイビングでよく石垣島を訪れる学生時代の友人も推薦、

鮮魚店が営む人気居酒屋「まるさ」本店へ向かいましょう。

うふふ、ぬかりなく、予約入れておいたもんね。

ありがたいことに場所は宿泊しているホテルのほど近く。

初日の島野菜を堪能した「あだん.亭」とは反対方向にそぞろ歩き、

ものの3分ほどで、これまた風情ある赤提灯が見えてきました。

サンゴ礁に囲まれた美しい海からの贈り物、

今宵は島魚を思う存分、味わうことといたしましょう。

腹ペコのおなかをなだめながら暖簾をくぐって店内へ。

う~ん、ここもまた居心地が良く、くつろげますねぇ。

木をふんだんに使った店内は天井も高く、

テーブルがゆったり配置され、落ちついた雰囲気。

石垣島の象徴、アンガマーのお面などさりげなく飾られ、

やはり「あだん.亭」同様、地元の人と観光客が自然に融け合っています。

島の内外の人々から愛される居酒屋は間違いありません。

離島の人気店を見分ける基準ですね。

さあ、何を食べようか。

まずは本日のおすすめからお刺身の盛り合わせと、

八重山かまぼこははずせない、グルクンのアーサー揚げも美味しそう。

「マース煮なら、今日はどんなお魚ありますか?」とスタッフに聞くと

「え~っと、ちょうどエーグヮーが入ってますねぇ」との答え。

エーグヮー?・・・・よくわからないが、とにかく旨そうだ。

「んじゃ、それをマース煮で」と即オーダー。

まずは冷え冷えのオリオン生で喉を潤し、

実に味わい深い自家製八重山かまぼこをつまみながら、

何気にスマホで「エーグヮー」を検索、事前リサーチしときましょ。

お店のメニューには「エーグヮー=アイゴ」と書かれていますが・・・。

なるほど、一般名は「アイゴ」、沖縄方言で「エー」とか「エーグヮー」。

スズキ目アイゴ科アイゴ属の魚で平たい形をし、鋭い背びれが特徴。

温帯、亜熱帯、熱帯の浅い岩礁域に生息し、

奄美、沖縄など南にいくほど種類が増え、盛んに食用されるらしい。

ふむふむ・・・アイゴ、ね・・・アイゴ?どこかで聞いたぞ。

あれ?沖縄料理の前菜でおなじみの島豆腐の上にちょこんと乗った、

あの小さな可愛い魚「スクガラス」、あれって、アイゴの稚魚じゃなかった?

「沖縄県などでは孵化後すぐのプランクトン食の稚魚を『スク』と呼ぶ」。

正解!エーグヮーはスクが雄々しく成長した魚だったんだ。へぇ~。

毎年、4月から6月にかけて獲れる魚で産卵期になると岸辺に近づき、

大きくなると30センチを超えるものもいるという。

沖縄では夏の訪れを告げる魚だとか。

エーグヮーは八重山の「夏告げ魚」。

「はい、こちらグルクンのアーサー揚げです」。

エーグヮーのプロフィールが明らかになったところで、

沖縄を代表するグルクンがお洒落な揚げ物となって登場。

緑鮮やかなアーサーをまとったグルクンをぱくり。

うゎぁ~、アーサーの爽やかな香りが上品な白身をさらに引き立てる。

これはちょっとドレスアップしたグルクン、

たまらなく美味しい。オリオンお代りねぇ~(笑)。

2杯目のオリオン生をぐびりとしたところで

「お待たせしました、エーグヮーのマース煮です」。

新鮮な島魚を味わうには島のマース(塩)と泡盛でさっと煮つけた

マース煮がいちばん。海人料理から生まれた最高の調理法。

おお、薄いグレーがかった平たいお魚から美味しそうな湯気が立つ。

が、ここで、店のスタッフがちょっと申し訳なさそうに言葉を続ける。

「あの、きょうのエーグヮー、ちょっと硬いみたいなので、

お値引きさせていただきます・・・」。

ほえっ?魚が、硬い・・・?

しかし、見た目は実に美味しそう。

半信半疑でエーグヮーの薄いグレーの皮に箸を伸ばす・・・と、

か、硬い(笑)、魚の皮というよりは、

まるでウェットスーツみたいに分厚くて弾力がある。

その下の白身は・・・ほっ、確かに弾力はありますが、食べやすく、実に美味い。

大潮の満月の夜にだけ、大群で浅瀬に押し寄せる神秘の稚魚、スク。

成長するにしたがって、その美味しい身を外敵から守ろうとしているのか、

とんでもない分厚い皮で身づくろいしているのでした。

どうやら、ある程度大型になると皮や身が硬くなる性質があるらしい。

エーグヮーの何ともユニークな成長物語。

それにしても、ちょっと硬いからお値引きしますとは

何とも正直で気持ちの良い自己申告ではありませんか。

おかげで八重山のサンゴ礁に住むユニークな島魚の一生もわかったし、

これはこれで、忘れがたい旅の、食の思い出になりました。

誠実で気どることなく正直でまっすぐ。

石垣島の人々の良き気風そのもののようだ。

夏告げ魚が教えてくれた島の魅力。

お腹いっぱいになって大満足、

「ご馳走さまぁ~」とお勘定をして暖簾をくぐって外へ。

ふわり・・・南国の甘い夜風は火照った頬を撫でる。

サンゴの海の物語を反芻しながらのんびりそぞろ歩き。

明日は石垣島1周ドライブ、

どんな島の魅力にまた出逢えることでしょう。

(写真は)

石垣島の夜に揺れる赤提灯。

美味しいお店は気持ち良い。

島魚も雰囲気もお値段も大満足。

「まるさ」本店、おすすめです。