隠れピルピル
カリカリ・ふわふわの下に
奇跡のピルピルが隠れていた。
身近な冬のお魚さんには
まだまだ凄い潜在能力があった。
魚偏に雪と書いて「鱈」。
やっぱり、キミは、美味しい。
強い冬の風が吹き付ける週末。
昨日の金曜ごはんのメイン食材は「鱈」。
先週の鮭の香草パン粉焼きが夫にも大好評で、
2週連続で作ろうとしたのですが、肝心の鮭の姿がぱったり消えた。
だよねぇ、もう12月だもんねぇ、秋鮭のシーズンもそりゃ終わりだよねぇ。
スーパーの魚売り場の主役は冬の魚「鱈」へとシフト。
よし、ならば、北海道産鱈の香草パン粉焼きにチェンジしましょ。
作り方は先週の秋鮭ヴァージョンとほぼ一緒。
特に水分の多い鱈の場合、少し多めの塩を振っておきます。
後はル・クルーゼのオーバル皿にじゃがいもの厚めスライスを敷きつめ、
ひと塩をした鱈を載せ、にんにく&フレッシュタイム入りの細目パン粉に
オリーブオイルを回しかけ、オーブンへ。
焼ける間にキノコと小松菜の煮びたしなどなど作っちゃいましょ。
う~ん・・・オーブンから香ばしい食欲をそそる匂いが漂ってくる。
冬のキッチンで幸せを感じるひととき。
おお、こんがりとイイ感じに焼き色がつきました。
火傷しないように慎重にオーブンから出して食卓へ。
さあ、熱々のうちに召し上がれ~。
いっただっきまぁ~す。
う・・・うんまぁ~い!
表面のパン粉はカリカリ、その下の鱈はふわふわ♪
鱈の旨みとにんにく&フレッシュタイムの香りとオリーブオイルのこくが
ル・クルーゼのオーバル皿の中で渾然一体、めちゃ、美味い。
秋鮭とはまた違った食感と味わいがあります。
何だ?何が違うんだ?
柔らかい身の食感も確かに鮭とは違いますが・・・、
まあ、いいや、とにかく美味しいから、もう一切れ、と、
夫にお代りをサーブしようとした瞬間に、ある感触に気づいた。
ピルピル・・・。
底のじゃがいもと絡み合うようにピルピルした何かが存在している。
これぞ、鱈の美味さの真骨頂。
「乳化」であります。
スペインでも美食の街として知られるバスク地方に
「鱈のピルピル」という名物料理があります。
オリーブオイルとにんにくと鱈だけを陶器の器に入れ、
時間をかけてゆすりながら弱火で作る一品。
料理名はそのソースが沸騰し始める「ピルピル」という音から
名付けられたもの。
その美味しさの秘密が「乳化」。
鱈の皮の部分のゼラチン質がオイルの中に溶け出して乳化することで、
ピルピル、ピルピル、絶品の「鱈のピルピル」が出来上がるのですが、
香草パン粉焼きの底のじゃがいももこのピルピルをまとっていたのです。
オーブンで30分香草パン粉とじゃがいもに挟まれじっくり加熱されることで、
バスク料理の「鱈のピルピル」」的変化が起こったのでありましょう。
オイルが少ないので量は控えめ、隠れピルピル程度でありますが、
この美味的変化は「鱈」ならではかもしれません。
冷たい冬の海を泳ぐために
たっぷりと皮の下に蓄えられたゼラチン質が
冬のキッチンのオーブンの中で美味しい化学変化を遂げる。
料理って、この世の奇跡のひとつかもしれない。
鱈の香草パン粉焼きの隠れピルピル。
冬の定番料理がまたひとつ増えました。
ささやかな幸せに感謝。
(写真は)
見た目は秋鮭と見分けがつきません(笑)。
「鱈の香草パン粉焼き」。
こんがり焼けたパン粉の下に隠れピルピルが。
ほくほくのじゃがいもと絡めてパクリ、ワインをゴクリ。
ああ、またまた天国極楽~。

