稀なる涙

きれいな涙だった。

不器用な努力家の頬に

まっすぐ一筋に伝う一滴。

天才じゃないから努力する。

稀なる美しい涙だった。

大相撲初場所千秋楽、

初優勝を決めていた大関稀勢の里が横綱白鵬に勝って

14勝1敗の好成績を収め、横綱昇進が確実になりました。

初土俵から苦節15年、長い長い道のりでした。

器が違う、日本人横綱になるのは稀勢の里、と期待されながら

ここ一番で結果を出せず、どれほど苦い涙を飲みこんできたことでしょう。

不器用な努力家がようやく辿り着いた賜杯。

優勝インタビューで流した涙に日本中が感動しました。

「一日一番の気持ちで集中してやった。良かった」。

素朴で真っ直ぐな言葉が心に響きます。

器用でキャラだちするお相撲さんも多い昨今、

テレビ番組などに出演することも一切なく、

ただひらすらに相撲に集中してきた15年間。

「天才は生まれつきです。もうなれません。努力で天才に勝ちます」。

中学卒業のアルバムに記した言葉を心に刻み続けてきたのでしょう。

昨日の白鳳戦はまさに努力家が天才に勝った一番だった。

白鳳との初対戦は2003年秋場所、取り直しで惜敗、

この取り組みを今でも鮮明に覚えていると言います。

「細かったけど柔らかく、天才的なうまさがあった」。

体も硬く決して器用でなかった稀勢の里、

だから、彼は努力した。15歳で誓った言葉通りに。

優勝力士と並べて語るのもおそれ多いですが、

何だかすごく共感する。だって、アタシも体硬いもん。

開脚前屈だって最初はテディベア状態だったもんね(笑)。

生まれつき体の柔らかい人っていますよね。

前屈だって何なくぺたっと床に手が着いちゃう人。

柔軟性に関しては神様はかなりえこひいきしてるって思う。

アタシは自慢じゃないけどカッチカッチに硬い人だった。

それがですね、適切なコーチングの下、努力によって変わった。

ジムに通い始めてから、それは自分で自分が愛おしいほど(笑)、

コツコツ、コツコツ、正しい姿勢、呼吸で無理せず努力するうちに

あのベストセラー本並みのベタァ~開脚も可能になったのです。

座る角度はほぼ直角(笑)ぬいぐるみのクマさん状態だったのに。

自分の肉体で体感した。努力は裏切らない。

努力とか根性とか、

いつのまにか流行らない言葉に分類されつつあったけど、

コツコツ、コツコツ、一日一番、努力はいつか実るんだ。

稀勢の里のきれいな涙は努力の結晶。

たくさん苦労して、たくさん挫折して、それでも腐ることなく

頑張り続けた稀勢の里は努力の天才だ。

きっと品位ある大きな横綱になるだろう。

体が硬いからとか、リズム感が悪いからとか、絵心ないからとか、

色々な理由で色々なことをあきらめてしまいがちだけど、

少しでも興味があるのなら、

運動や音楽や絵画や色々な趣味に挑戦してみるのも悪くないよね。

天才にはなれないけど、努力の天才になることは

今からだって十分できる。

19年ぶりの日本人横綱に勇気をもらおう。

(写真は)

大寒過ぎても雪は降る。

一晩で電柱にもこんもり雪帽子。

これじゃ、カラスも止まれないわね。

まだまだ寒さの底が続きます。

春よ、今、どこ?