日向の鈴音

ぽかぽかの春の日の

日向ぼっこを思い出す。

小さくて可愛くて

懐かしい甘さがたまらない。

鈴音が聞こえるおやつ。

ご近所スーパーでまた見つけてしまった。

「シベリア」に続く懐かしいおやつ、

小さくて可愛い「鈴カステラ」。

いや多分、ずっと売られていたのに、

視界に入っていなかっただけでしょう。

昨日はお菓子の特設ワゴンにずらり勢ぞろい、

懐かしくて思わず買い物カゴに入れちゃいました。

コロコロしたキュートなヴィジュアル。

球状に焼かれたカステラは半分は茶色の焦げ目、

もう半分は卵色、お砂糖をまぶされた見た目は

まさに可愛い「鈴」。世界に自慢したくなる愛らしさ。

どなたがこんなに可愛いお菓子を思いついたのでしょう。

さらっとネットで検索してみましたが、

その由来、歴史に関する詳細な記述は見当たらず。

「鈴カステラ協会」なるサイトもありましたが、

その歴史に関しては「只今、調査中」とか。

身近で懐かしいおやつは意外に謎に包まれていた(笑)。

しかし、誰もが郷愁をそそられる存在であることは確か。

鈴カステラを頬張ると、春の陽だまりと畳の匂いが蘇る。

そう、ぽかぽかの日差しが差し込む祖父母の部屋だ。

子供の頃、同居していた祖父母の部屋。

働いていた母が家を留守にしている時など、

孫にとっては安心して過ごせる居場所だった。

そこで実際に鈴カステラを食べたことがあるのかは

正直言ってよく覚えていない。

でも久しぶりにお砂糖ザラザラの鈴カステラを口にした瞬間、

ちょっと日焼けして色あせたあの畳の部屋を思い出したのです。

おばあちゃんが淹れてくれた

少しぬるくてちょっと苦い煎茶。

春なのにちょろちょろと石炭ストープが燃えていて、

アタシは暑いのに、おばあちゃんは着物の衿元に

ネッカチーフまで巻いていて、不思議だった。

年を重ねると体温調整が難しくなるんだって、

大人になった今ならわかる。

小さな鈴カステラを頬張った瞬間、

ず~っと忘れていた懐かしい風景が蘇った。

プルーストは紅茶に浸したマドレーヌで記憶を呼び覚ましましたが、

アタシは緑茶と鈴カステラでもう二度と遊びには行けない、

祖父母の部屋を思い出しました。

味覚はひょんな記憶を揺り起こす。

人は幾つになっても愛された記憶は忘れない。

むしろ時間と共に熟成されていくのかもしれない。

愛された記憶は次の世代を愛することでつながっていく。

いつかおばあちゃんになる日が来たとしたら、

陽だまりの部屋で思い切り孫をなめるように可愛がろう(笑)。

時ならぬ春の雪もおさまり、

朝から穏やかな日差しが戻ってきた。

小さなカステラをそっと頬張る。

ちりんちりん・・・。

懐かしい日向の鈴音が聞こえる。

(写真は)

ね・・・懐かしいでしょ。

日本のカワイイが詰まった「鈴カステラ」。

ネット上では卵と牛乳に浸してバターで焼く

鈴カステラのフレンチトーストが話題らしい。

袋の残り半分で作ってみる?